2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規細胞膜機能ドメインTEMの構成因子とその機能の遺伝学的解析
Project/Area Number |
18770171
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森部 弘樹 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (90423102)
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Keywords | 線虫 / テトラスパニン / tsp-15 / サプレッサー |
Research Abstract |
膜4回貫通タンパク質であるテトラスパニンは、ヒトでは30種類以上からなるファミリ-を形成し、多細胞生物における細胞接着・細胞遊走・癌転移・細胞膜融合などに深く関わる分子群である。その多様な生理的役割にも関わらず、テトラスパニンがどのように機能するか、その分子機構は不明のままである。近年、テトラスパニンは主に細胞膜においてテトラスパニン・エンリッチド・マイクロドメイン(TEM)と称される膜微小領域を形成する中心分子として働いていることが示唆されつつある。TEMにはインテグリンやIgドメインを持つ膜タンパク質が濃縮されており、この膜ドメインへの集積がそれらの分子の機能を調節していると考えられる。TEMは従来知られている代表的な細胞膜微小領域である脂質ラフトとは異なる生化学的性質を持つことから、細胞膜上の新規のシグナリング・プラットフォームであると期待される。 筆者は以前に線虫C.elegansのテトラスパニンのひとつであるtsp-15が線虫の表皮と外骨格の形態と機能に必須の因子であることを見いだした。そこでこの変異体を材料として、TEMの構成に関与する因子を遺伝学的手法で網羅的に同定し、その機能を解析することを目的とした。まずtsp-15機能低下変異体の表現型を抑圧する変異体、ならびにtsp-15機能低下変異体と類似する表現型を示す変異体のスクリーニングを行った。SNPマッピングとレスキュー実験を併用し、得られた変異体ストックの中から現在までに6つのアリルを同定した。そのうちの2つは過去に線虫の外骨格の形成に必須であることが示唆されている遺伝子に変異をもたらすことが分かった。
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