2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18770187
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
長崎 晃 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, セルエンジニアリング研究部門, 研究員 (30392640)
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Keywords | 細胞質分裂 / 細胞性粘菌 / 細胞接着 |
Research Abstract |
細胞質分裂は細胞中央部に形成される収縮環によって行われ,収縮環の構成分子であるアクチン繊維上をミオシン繊維が滑ることによって生じる収縮力が分裂細胞の赤道部を収縮させると考えられてきた。しかし,様々な細胞において収縮環の収縮力のみでは説明できない現象が観察されている。細胞性粘菌のミオシンII遺伝子欠損株の場合,収縮環非依存的細胞質分裂は細胞が基質上に張り付いた状態でのみ行われる。この細胞質分裂機構の赤道部における収縮は,娘細胞の細胞運動による受動的な収縮によって行われている。しかし,収縮環非依存的細胞質分裂の分子機構については明らかになっていない。そこで私は分裂期における細胞接着因子の役割と細胞運動に着目し,粘菌の接着因子の遺伝子破壊株の作成と細胞運動関連遺伝子群の網羅的探索を行った。接着因子変異体では分裂細胞時に形成される不定型な仮足が細胞質分裂を阻害するのが観察され,また収縮環非依存的細胞質分裂への関与を明確にするために各変異体とミオシンIIとの二重変異株を作成したところ,その結果は各シングルノックアウト変異株よりも多核細胞の出現頻度が非常に高まった。さらに培養細胞の収縮環非依存的細胞質分裂における接着因子の分布は通常の細胞質分裂時とは異なり細胞両極における接着班形成の促進が観察された。また培養細胞における収縮環非依存的細胞質分裂機構についてEct2に着目し検討を行ったところ,ECT2は分裂時の葉状仮足形成と極性に関与することが示され,Rhoの活性化が収縮環非依存的細胞質分裂にも重要であることが明らかとなった。以上の結果より接着因子群が収縮環非依存的細胞質分裂の制御に関与している可能性が示唆された。さらに細胞運動遺伝子のスクリーニングにより,18の遺伝子を同定するに至ったので,今後はこれらの遺伝子群の細胞質分裂への関与について検討を行う。
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Research Products
(6 results)