2006 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノムワイドな視点によるカタユウレイボヤの鰓嚢形成と機能の進化発生学的解析
Project/Area Number |
18770194
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小笠原 道生 千葉大学, 理学部, 助教授 (00343088)
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Keywords | カタユウレイボヤ / 鰓嚢 / マイクロアレイ / プロテオーム / WISH |
Research Abstract |
カタユウレイボヤは、その系統的、発生生物学的、ゲノム生物学的な分野における研究の進展から、脊索動物における生命現象の共通性と多様性を大局的視野に理解するための良い研究材料と考えられている。その中において本研究は、カタユウレイボヤ成体の組織・器官、特に鰓嚢に付随する形質(鰓裂・鰓嚢血管・血球・内柱)に着目し、マイクロアレイやプロテオームの手法を用いることにより、これらの形質で特徴的な発現を示す遺伝子の探索を試みている。マイクロアレイ解析としては、既存のCiona22KオリゴDNAチップを用いた発生ステージ別データと組織別ESTカウント数データを組み合わせて解析することにより、鰓裂および内柱で発現が顕著な遺伝子群を選定し、ホールマウントin situハイブリダイゼーション(WISH)法を用いた発現解析を行った。さらに、遺伝子の同定効率を高めるためにCiona44KのオリゴDNAチップを利用し、成体組織別に抽出したRNAを用いたマイクロアレイ解析を行った。一方、タンパク質の存在パターンの違いから鰓嚢に関連する遺伝子を同定する試みとして、成体組織別の二次元電気泳動解析を開始し、鰓嚢で特異的に存在するタンパク質スポットの同定ならびにMALDI-TOF/MS法による質量分析を行った。これらのスクリーニング解析の結果、これまでの研究過程で得られた既知の遺伝子群のみならず、鰓嚢血管系で新規の発現パターンを示す遺伝子群(4パターン、8遺伝子)を同定するに至った。選定した遺伝子群は、順次カタユウレイボヤ幼若体を用いたWISH解析を行うと同時に、微小成体としての幼若体を大量に飼育するためのシステム構築を行っている。
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