2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18770195
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
室山 優子 千葉大学, 大学院医学研究院, 助手 (20422248)
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Keywords | 発生・分化 / 脳・神経 / 大脳皮質 / 応答能 / 神経幹細胞 / 電気穿孔法 |
Research Abstract |
哺乳類の大脳皮質は機能の異なる六層の神経細胞層からなる。大脳皮質の神経幹細胞が深層から表層へと順々に特定の層の神経細胞を経時的に生み出す過程は、細胞外からのシグナル分子と、それらシグナルに対して適切に応答させる細胞内在性の応答能を司る分子の協調的な作用によって制御されることが示唆されている。本研究では、哺乳類大脳皮質発生の分子メカニズムを明らかにするため、マウス大脳皮質の神経幹細胞で特異的に発現し、応答能を担う細胞内因子の探索及び機能解析を行う。代表者は今年度、神経幹細胞の応答能に関与する可能性がある分子として、六層の神経細胞層が生み出されるマウス胎生11日から15日の間に神経幹細胞に発現する遺伝子をDigital Differential Display法により探索した。そのうち細胞内因子をコードする15の候補遺伝子について、大脳皮質発生過程の様々な時期での発現をin situ hybridization法により詳細に解析したところ、深層の神経細胞を生み出す時期の神経幹細胞において特異的に発現する遺伝子群を得た。大脳皮質で時期特異的に発現する遺伝子の生体内での機能を解析するため、各遺伝子のORFを含む強制発現用ベクターを作製した。さらに機能ドメインが予測できる遺伝子について機能阻害用のドミナントネガティブ体を設計し、その発現ベクターを作製した。ベクターは、EYFPなどのマーカー遺伝子を持つダブルプロモーターベクターを利用することにより、遺伝子導入された神経幹細胞を標識し、脳内で可視化させる。これら強制発現ベクターおよび機能阻害ベクターを電気穿孔法により神経発生のさまざまな時期の神経幹細胞に遺伝子導入し、EYFPの蛍光を指標とした細胞の挙動や各層特異的なマーカー遺伝子の発現の変化を調べることにより、その機能の解析を行っている。
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