2006 Fiscal Year Annual Research Report
ゼブラフィッシュをモデルに用いたウェーベル器官の進化発生学的研究
Project/Area Number |
18770211
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
成田 裕一 独立行政法人理化学研究所, 形態進化研究グループ, 研究員 (40360614)
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Keywords | ウェーベル器官 / ゼブラフィッシュ / メダカ / PVS / twist1 / カルセイン法 |
Research Abstract |
<組織レベルでの解析>ウェーベル器官は椎骨の付属要素(神経弓、肋骨など)が変化してできた構造であると考えられている。そこで、どの発生段階からウェーベル器官が通常の椎骨要素と異なる発生を始めるのかを明らかにする目的で、ゼブラフィッシュとメダカについて組織学切片を作成し、椎骨や周辺組織の発生を詳細に比較解析した。その結果、ゼブラフィッシュにおいてウェーベル器官が形成される時期および領域特異的に、椎体と周囲の筋肉組織の間に多量の結合組織が形成される事を見いだした。これはナマズ類で報告されているPVSと呼ばれる構造と相同なものであると考えられた。この構造が骨鰾類のみで観察される点、この結合組織がウェーベル器官の形態形成直前に現れる点、さらにはこの結合組織内でウェーベル器官の形態形成が進むという点から、このPVSがウェーベル器官の発生進化において重要な役割を果たしたものと考えられた。現在、この結合組織の進化発生学的な由来について解析を進めている。 <遺伝子レベルでの解析>硬節細胞をGFPでラベルしたゼブラフィッシュを作出する目的で、硬節特異的に発現することが知られるtwist1遺伝子のプロモーター領域を、ゼブラフィッシュのゲノムライブラリーからクローニングし、それをGFPの上流につないだコンストラクトを作製した。このコンストラクトをゼブラフィッシュ受精卵にインジェクトし、発生したembryoでGFPシグナルが観察できることを確認した。現在、ライン化する目的で、それらの個体の交雑実験を行い、生殖細胞系列にも遺伝子導入されている個体をスクリーニングしている。 また、ウェーベル器官ミュータントゼブラフィッシュのスクリーニングのために、魚を生かしたままで骨形態を観察する事ができる「カルセイン法」を用いて、ゼブラフィッシュのウェーベル器官の形態を観察し、その発生を記述した。
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