2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18770214
|
Research Institution | Research Institute, Osaka Medical Center for Maternal and Child Health |
Principal Investigator |
吉田 千春 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立母子保健総合医療センター(研究所), 病因病態部門, 研究員 (60360666)
|
Keywords | 転写制御 / Otx2遺伝子 / Foxa2遺伝子 / 臓側内胚葉 / 前後軸 / マウス / Wnt / canonicalシグナル / Dickkopf1遺伝子 |
Research Abstract |
ホメオボックス遺伝子であるOtx2遺伝子は、その遺伝子欠損マウスの表現型から、頭部形成・前後軸決定に極めて重要な機能を持つ遺伝子であることが示唆されている。さらに、Otx2遺伝子は原条形成時期(受精後約6.5日目)に形成される臓側内胚葉で発現し、この組織における発現が前方決定に重要であることも明らかにされている。そこで、我々は、この臓側内胚葉におけるOtx2遺伝子の発現制御領域を解析し、上流で働く転写因子の同定を行った。以下に解析結果を記述する。 1)マウスOtx2遺伝子の臓側内胚葉特異的な発現制御領域は、ヒト、ニワトリ、トラフグなど、種を超えてよく保存していることがわかった。2)保存された制御領域には共通の塩基配列が存在しており、その配列はフォークヘッドファミリーの結合配列とよく一致していることがわかった。3)フォークヘッドファミリーの一つであるFoxa2(Hnf3β)遺伝子は、今回得られた制御領域に直接結合し、転写活性化に働いていることがわかった。4)臓側内胚葉においてFoxa2、Otx2遺伝子共に、Wnt/canonicalシグナルの拮抗因子であるDickkopf1(Dkk1)遺伝子を介して、前方決定に働いていることが示唆された。5)一方、頭部誘導に関しては、Otx2遺伝子は前方中内胚葉におけるDkk1遺伝子を活性化させて頭部誘導に促進的に働き、Foxa2遺伝子はDkk1遺伝子を抑制させることによって頭部誘導に対して抑制的に働くことがわかった。 以上の結果から、今まで前後軸決定に重要であることが報告されていた臓側内胚葉の転写カスケードの一端が明らかになり、またこのメカニズムは進化的にもよく保存されていることが示唆された。
|