2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18770216
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
徐 泰健 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特任助教 (60401189)
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Keywords | ブートストラップ確率 / 距離行列法 / 分子系統樹 |
Research Abstract |
ゲノム情報の増加と塩基配列決定技術の進歩により複数の遺伝子を用いた塩基配列解析が可能になっており、その重要性に対する認識も高まっている。しかし、適切な解析手法の開発は遅れており実際には複数の遺伝子を単純に繋ぎ合わせる「Sequence Concatenation」アプローチが主に使われている。同方法には、遺伝子ごとに異なる進化パタンを十分反映できないなど、数多い問題点がある。こういうことから本研究は「Sequence Concatenation」に依存しない、系統樹解析手法の開発をその目的としている。 平成20年度には、複数の遺伝子を用いた、哺乳類の分岐年代推定研究を行った(徐ら、統計数理56:37-54)。そこでは、69種の哺乳類から得られた12種類のミトコンドリアタンパク質コード領域を解析し分岐年代と同義置換・非同義置換速度の変動を調べた。12種類のタンパク質コード領域をつなぎ合わせず、別々に扱うことによって、同義置換・非同義置換速度の変動パタンを個別に調べることが可能になった。そのデータを解析した結果、霊長類、Afrotheria、Carnivoraグループの共通祖先がそれぞれ68.2+-2.7、91.3+-2.0、53.3+-2.6百万年前と推定されるなど数多い分類群の年代推定値が先行研究と合致し、我々の解析手法の妥当性が確認された。同義置換・非同義置換速度の変動については、哺乳類の進化の過程で強い相関を持っているのが分かり、またその原因としては集団の大きさの変動、突然変異率の変化などが考えられる。 複数の遺伝子を用いる解析の場合、数値計算の負担が大きくなるなどの問題点も予想される。そういうことから、私は計算量が軽減できる配列進化モデル開発研究にも取り込んだ。(Seo and Kishino, Systematic Biology 57:367-377)。新しいモデルは、アミノ酸置換モデルとコドン置換モデルの長所を融合したモデルであり、今後大量のタンパク質コード領域の解析において有効な手段になると期待している。
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[Journal Article] Rates of nucleotide substitution in Cornaceae (Cornales)-correlation between molecular variation and morphological change2008
Author(s)
Xiang, Q-Y, Thorne, J, Seo, T-K, Zhang, W., Thomas, D.,Ricklefs, R.
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Journal Title
Molecular Phylogenetics and Evolution 49
Pages: 327-342
Peer Reviewed
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