2008 Fiscal Year Annual Research Report
文化進化モデルを用いたヒトの非適応的行動に関する研究
Project/Area Number |
18770217
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井原 泰雄 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 講師 (90376533)
|
Keywords | 文化進化 / 名声 / 性的対立 / 性拮抗的共進化 / 配偶者選択 / 性的刷り込み様現象 |
Research Abstract |
前年度までの研究(Ihara 2008)では、個体間に社会的地位の違いがある場合に非適応的文化進化が起こる機構について、モデル解析を行った。このモデルには単純化のための多くの仮定が置かれているが、今年度は特に無性生殖の仮定が結果に及ぼす影響に注目して研究を行った。集団内に雌個体と雄個体が存在し、有性生殖をすることを想定し、同性個体間と異性個体間で文化伝達率が異なることを考慮した。予備的なモデル解析により、定性的な傾向は無性生殖を仮定した場合と大きく異ならないことがわかりつつある。 前年度に構築した性的葛藤のレプリケーター力学系モデルについて、解析を進めた。特に、いくつかの先行研究との比較を行い、今回のモデルと、異なる数理的手法を用いた他のモデルとの関係について理解を深めた。 前年度に引き続き、既婚・未婚カップルとその異性親の顔写真を使って、性的刷り込み様効果の検出を試みた。今年度は標本数が十分な大きさに達した。先行研究と同様、カップルの顔は相互に似ていることが示されたが、先行研究とは異なり、性的刷り込み様効果は検出されなかった。また、顔面の測定値から主成分を抽出し、顔の類似性を評価する新たな方法を考案した。 今年度から、確率論的モデルを使ったN人ゲームの解析に着手した。特に、繰り返しのあるN人囚人のジレンマゲームに注目し、2人ゲームで発見されていた「1/3則」、(Nowak et al 2004)を、N人ゲームにおける規則として一般化することに成功した(Kurokawa & Ihara 2009)。
|
Research Products
(7 results)