Research Abstract |
本年度は,2006年度に実施したフィールド調査のうち,中国・雲南省の山岳民族における調査結果の詳細な分析を行った.生活の現代化が進んでいない中国の山岳地域で生活する子どもでは,9歳児において血圧調節不良群出現率が4割程度と,日本の1956年の調査結果の水準にあることなどを明らかにすることができた〔藤岩秀樹,山岸秀之,賈志勇,正木健雄:子どもの自律神経に関する調査研究-中国・雲南省における山岳民族の血圧調節機能-:第54回日本学校保健学会,於和洋女子大学,2007.9.〕.また,わが国の高専1年生を対象に実施した「寒冷昇圧試験」の結果,自律神経失調性の症状(OD)を有する子どもでは,"刺激(ストレス)"に対する交感神経反応が過剰なものが多いことを予想させる結果を得た〔藤岩秀樹,石尾潤,中村貢治:寒冷刺激における循環応答とODとの関連:第6回日本発育発達学会,於九州共立大学,2008.3.〕.これら諸調査の結果とその解釈については,〔藤岩秀樹:子どものからだの不調と自律神経系の発達不全:月刊地域保健,38(8),26-31,2007.8.〕においてわかりやすく記述した. なお,「体位血圧反射法」について,〔藤岩秀樹:防衛体力の測定評価に関する基礎的研究-「体位血圧反射」の測定時間帯についての検討-,宇部工業高等専門学校研究報告,第54号,79-85,2008.3.〕では,測定時間帯の相違が調査結果に影響しないことなどについて明らかにすることができた. また,「寒冷昇圧試験」を活用した保健授業の実践について,某高専における取り組みの事例を〔藤岩秀樹:学校で実践!子どものからだ・心づくり(野井真吾編),保健授業で取り組む「からだの学習」-"自律神経"について学ぶ-:教育開発研究所,144-147,2007.8.〕において紹介した.
|