Research Abstract |
本年度は昨年度に引き続き, 中国・雲南省の山岳民族における調査結果の詳細な分析を行った. 対象の子どもにおける「血圧調節機能」と「睡眠」との関連では, 血圧調節「良好群」と「不良群」間で, 「就寝時刻」「睡眠時間」に有意な差はみられなかった. しかしながら, 「起床時刻」において「良好群」が6. 36±0. 63(6時21分)に対して「不良群」が7. 00±0. 75(7時00分)と, 「良好群」の起床時刻が有意に早いことが明らかになった. 対象の子ども全体では就寝時刻が8. 52±1. 12(20時30分), 起床時刻が6. 73±0. 76(6時43分), 睡眠時間が10. 21±1. 36と, 日本の子どもと比べて早く就寝し, かつ十分な睡眠時間が確保されていることが伺えたが, なかでも「起床時刻」が早い子どもの血圧調節機能が良好であることは興味深い結果であった[藤岩秀樹, 山岸秀之, 賈志勇, 正木健雄 : 子どもの自律神経機能に関する調査研究-中国・雲南省における山岳少数民族の血圧調節機能-, 宇部工業高等専門学校研究報告, 第55号, 17-23, 2009. 3. ]. 実験室レベルではこれまで, 自律神経機能の簡易検査法として「寒冷昇圧試験」に着目し, その有効性について検討を行ってきたが, 本年度は, 若者を対象に寒冷昇圧試験時の心拍変動パワー(「%HF」「LF/HF」)について解析し, その際の自律神経反応についてさらに詳細な分析を行った. その結果, 寒冷刺激にともなう自律神経反応が一定の精度で観察されたことから, 若者の自律神経機能の簡易検査法として「寒冷昇圧試験」の有効性を確認するに至った[藤岩秀樹, 石尾潤, 中村貢治 : 寒冷昇圧試験における自律神経応答-心拍変動のパワースペクトルからみて- : 第55回日本学校保健学会, 於愛知学院大学, 2008. 11. ].
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