2006 Fiscal Year Annual Research Report
アサガオの花の色と模様のジェネティクスとエピジェネティクス
Project/Area Number |
18779007
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Research Category |
Grant-in-Aid for Special Purposes
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
森田 裕将 基礎生物学研究所, 基礎生物学研究所, 特別協力研究員 (30435523)
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Keywords | アサガオ / 花色 / 模様 / ジェネティクス / エピジェネティクス / 遺伝子重複 / 転写後抑制 |
Research Abstract |
アサガオの優性変異体、吹雪、車絞、覆輪の花は有色の花弁に白色または薄色の模様を生じる。各々の変異体は、古典遺伝学的な解析から複数の変異が関わり合って形成される事が知られるが、分子生物学的な解析は行われていない。本研究では各々の変異体の一部の花弁細胞の色調だけを白くまたは薄くする分子機構の解明を目指している。 これまでに、各々の変異体花弁の白色または薄色部分では色素合成系のDFR-B(dibydroflavonol 4-reductase)遺伝子のmRNAの蓄積量低下を見いだしている。また、吹雪と車絞では、両変異体の模様が大きく異なるにも関わらずC遺伝子は正常な1コピーと重複によって生じた逆反復構造を持つ2コピーの計3コピーからなる同一の遺伝子座であった。今年度は、覆輪についてもDFR-B遺伝子のクローニングによって約40kbからなるDFR領域の内、約25kbを明らかにしたところ、吹雪、車絞と共通する再編成領域を見いだした。また、吹雪、車絞DFR-B遺伝子の逆反復領域から転写されるヘアピンmRNAの二本鎖部分は、低分子RNAに切断された後、DFR-B遺伝子の発現抑制を引き起こす事が予想された事から、吹雪と車絞花弁の有色部分と白色または薄色部分におけるDFR-B遺伝子のヘアピンmRNA量を比較した所、蓄積量に優位な差は観られなかった。しかし、両変異体では白色または薄色部分においてDFR-B遺伝子の正常なmRNAの切断(発現抑制)に関わる事が予想される低分子RNAが特異的に検出された。吹雪と車絞ではDER-B遺伝子の再編成によって生じた逆反復配列から転写されるヘアピンmRNAが、白色または薄色部分においてのみ低分子RNAに変換されたと考えている。次年度は、白色または薄色部分においてDFR-B遺伝子の低分子RNAが発現する分子機構の解明を目指す。
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