2006 Fiscal Year Annual Research Report
ダイズにおける逆遺伝学的突然変異集団作成のためのトランスポゾン因子の網羅的探索
Project/Area Number |
18780003
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
寺石 政義 京都大学, 農学研究科, 助手 (80378819)
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Keywords | トランスポゾン / ダイズ / 突然変異 |
Research Abstract |
遺伝子解析材料の提供や品種の分化・同定マーカーとしてトランスポゾン因子の利用は有効である.そこで本研究では,ダイズにおけるトランスポゾン因子を網羅的に単離しそれぞれの特徴を調査することを目標とし,本年度は以下の件に取り組んだ. 1)公開されているダイズESTデータベースからトランスポゾン様配列を選び出し,プライマーを設計した.ダイズゲノムDNAを供試してPCRを行ったところ,Ty3-gypsy様,Mutator様およびAc様配列を獲得した.これらPCR産物をプローブとしてサザンプロット解析を行った.日本を中心とする世界各国のダイズ40品種を供試したところ,どれもmultiple bandであり,非常に複数のコピー数がダイズゲノム内に存在することが明らかになった. 2)Ty1-copia様配列およびTy3-gypsy様配列のreverse transcriptase領域ならびにMariner様配列のtransposase領域の保存性の高い部分を増幅するdegenerateプライマーを設計し,PCRを行った.PCR産物を配列決定したところ,Ty3-gypsy様およびMariner様の各配列ではクローン間に顕著な多様性は見られなかったが,Ty1-copia様配列ではクローン間で多様性に富んでいたことから多くのサブファミリーを有することが示唆された.ダイズゲノムにおいてTy1-copia様レトロトランスポゾンは多くのコピー数を有する因子であることが示唆された. 3)既知のトランスポゾン配列Soymar1の一部配列をプローブに用いてサザンプロット解析を行った.日本を中心とする世界各国のダイズ40品種を供試したところ,5〜10のバンドが検出され,品種間にバンドパターンの多型を観察できた.また,日本系ダイズ品種およびアメリカ系ダイズ品種に特有的なバンドが存在した.Soymar1配列はダイズ品種の類縁関係の識別や系統分化の調査に利用できる可能性が示唆された.
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