2006 Fiscal Year Annual Research Report
乾燥応答性カルシウム結合タンパク質RD20の機能解析とその応用
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18780009
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
藤田 美紀 独立行政法人理化学研究所, 機能開発研究チーム, 研究員 (70332294)
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Keywords | 環境ストレス / ABA / カルシウム結合タンパク質 / オイルボディ |
Research Abstract |
シロイヌナズナにおける乾燥応答性遺伝子として単離されたRD20は、乾燥、高塩濃度、ストレスホルモンであるアブシジン酸(ABA)処理などにより非常に強い発現応答性を示し、RD26(NAC)やAREB1(bZIP)など多くのストレス応答性転写因子の標的遺伝子としても同定されている。GUSレポーターを用いたプロモーター解析の結果、RD20はストレスやABA処理に応答して植物体全体で高発現すること、また、通常の生育条件下では花および鞘で強く発現することを明らかとした。さらに、RD20のABA応答には、RD20プロモーター上のABRE配列を含む領域が必要であるが、乾燥ストレス応答には、さらに上流に存在する未知のシス配列が必要であることが示唆された。 RD20タンパク質はカルシウム結合ドメインであるEF-handモチーフを有しており、これまでにそのカルシウム結合性が報告されている。近年の研究から、RD20タンパク質は種子の脂質貯蔵体として知られるオイルボディに局在するカレオシン(oleosin-like Ca2+ binding protein)であることが明らかとなった。本研究においても、GFPおよびその誘導体との融合タンパクを用いた細胞内局在観察により、RD20は細胞質内の顆粒状構造に、オイルボディを構成するオレオシンタンパク質と共に局在することを明らかにした。RD20は他のカレオシン遺伝子と異なり種子ではなくストレス応答時の植物体全体で高発現することから、ストレス応答に重要な役割を担うと考えられる。現在RD20の過剰発現体、発現抑制体およびノックアウト変異体を単離し、ストレス応答の変化について解析を進めている。
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