2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18780012
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
服部 太一朗 鳥取大学, 乾燥地研究センター, プロジェクト研究員 (60403375)
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Keywords | 植物 / 土壌学 / 生体機能利用 |
Research Abstract |
ケイ酸はイネ科作物の耐乾性を高める効果を有する.本研究では,植物がもつ土壌ケイ酸を溶出させる機能を利用して,経済的にケイ酸施肥が困難な途上地域でも土壌ケイ酸濃度を高く維持し,作物の耐乾性を高めるための方法論を確立することを目的とした. 初年度はまず,20種程度の植物群を一定期間ポット栽培した後に水耕栽培に移行し,その栽培後の水耕液を砂丘砂土および水田土壌と混合した際の土壌ケイ酸溶出量を指標として,各植物種の土壌ケイ酸溶出能力を評価した.その結果,供試植物内には顕著なケイ酸溶出能力を示すものは認められなかった.一方で,土壌からのケイ酸溶出量は植物種に関わらず,主に水耕液のpHの低さに依存していた.また,上記の試験に供試した植物種の幾つかについてポット栽培時に土壌溶液を分析した結果,イネ科植物以外では土壌溶液中ケイ酸濃度は土壌溶液pHと負の相関を示した.イネ科植物では,pHに関わらず土壌溶液中ケイ酸濃度が低下した.以上から,土壌溶液中ケイ酸濃度を高めるには,根圏pHを低下させるがケイ酸を吸収しない植物の利用が有用であると考えられた. 次に,一定期間水耕栽培した各植物種の根を採取してpH指示薬を含む寒天培地に移し,色の変化を画像解析して根のプロトン放出量を評価した.その結果,個根のプロトン放出量には作物種間で有意な差異が認められたが,個根のプロトン放出量と前述した水耕液のpH低下程度およびケイ酸溶出程度との間には相関関係が認められなかった.根系全体のプロトン放出量については実験系の不備により適切に評価を行えなかったため,次年度において実験系に改良を加え,根系全体のプロトン放出能力と根圏pH調整能力およびケイ酸溶出程度との関連性を検討することとした.
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