2006 Fiscal Year Annual Research Report
RNA干渉を用いたマツノザイセンチュウにおける植物細胞壁分解酵素の役割解明
Project/Area Number |
18780032
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
菊地 泰生 独立行政法人森林総合研究所, 森林微生物研究領域, 研究員 (20353659)
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Keywords | RNA干渉 / マツノザイセンチュウ / 細胞壁 / セルラーゼ / 植物寄生 / 糸状菌 |
Research Abstract |
cDNAの網羅的な解析(EST解析)によって作成されたマツノザイセンチュウESTデータベースを用いて、細胞壁分解酵素をコードする遺伝子を探索した。探索により、マツノザイセンチュウからセルラーゼ、1,3グルカナーゼ、キチナーゼ、ペクチン分解酵素を発見し、クローニングをおこなった。これらの遺伝子を大腸菌あるいは酵母において発現し、細胞壁分解活性をもつ機能的な酵素をコードしていることを明らかにした。またゲノム内の遺伝子構造を解析し、これらの遺伝子がマルチジーンファミリーを構成していることを明らかにした。また発現部位解析により線虫の食道腺で特異的に発現していることを明らかにした。 マツノザイセンチュウでのRNA干渉誘導手法を確立するため、以下の2点について検討を行った。 1.遺伝子発現量の定量法。遺伝子発現定量法を検討し、効率的な方法を確立した。線虫表皮をタンパク質分解酵素で溶解し、液層分離を用いてRNAを抽出する。抽出RNAから、RT-PCRでcDNAを合成した後、リアルタイムPCR装置と適切なプライマー対を用いて定量PCRを行うことで、短時間で効率よく発現量を推測できた。 2.線虫による2本鎖RNAの腸内への取込み。取込み量の最大化のため、蛍光標識した2本鎖RNAを線虫に取込ませ、腸内を蛍光顕微鏡での観察評価して、取込み法を検討した。モデル生物であるC.elegansや他の植物寄生性線虫と比較して、マツノザイセンチュウ腸内への取込みは、やや難しいが2本鎖RNAを含む適切なバッファーに浸すことで、腸内へRNAを取込ませることが可能であることが明らかになった。
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