2007 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロサテライトマーカーを用いたヒメハナカメムシ個体群間の遺伝子交流の解明
Project/Area Number |
18780040
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
日本 典秀 National Institute of Agrobiological Sciences, 昆虫科学研究領域・昆虫-昆虫・植物間相互作用研究ユニット, 主任研究員 (80370675)
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Keywords | マイクロサテライト / ヒメハナカメムシ / 天敵昆虫 / 生物農薬 / DNAマーカー / 遺伝的多様性 / 個体群構造 / 移動分散 |
Research Abstract |
生物農薬として販売されているタイリクヒメハナカメムシは微小重要農業害虫アザミウマ類の捕食性天敵として知られ、各地の施設栽培野菜で使用されているが、本種はわが国に土着であり、施設外に分散して定着したり、野外個体群との交配を通じて遺伝的撹乱を起こすという懸念がある。また、わが国野外での本種の分布地域は関東以西の海岸部に限られるが、近年の気候の温暖化現象に伴い、その分布を北方に広げてきたと考えられている。他のOriusは広範囲に分布しており、本種の分布拡大過程を詳細に解析することが、種間競争の解明や地球温暖化の影響を明らかにするためには、必須である。本研究課題では、種内多型に富んだマイクロサテライトマーカーの作出・解析を通じてこれら問題を解明する。 本年度は、昨年作成したナミヒメハナカメムシ13クローン(遺伝子座)の増幅確認を行ない、うち8遺伝子座がヌル対立遺伝子が少なく、実用性に耐えることを明らかにした。近縁のタイリクヒメハナカメムシおよびコヒメハナカメムシでもおおむね良好に増幅が見られ、これらのプライマーを用いて3種の個体群構造を比較することが可能と判断した。10-11月には、南九州、三重、山梨を中心に全国47地点のセイタカアワダチソウ群落からヒメハナカメムシ類3000個体以上を採集し、実験室に持ち帰り凍結保存した。随時DNA抽出を行い、マルチプレックスPCR法(Hinomoto et a1., 2004)による種の識別を行い、種構成を調査中である。
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