2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18780045
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
水野 隆文 Mie University, 大学院・生物資源学研究科, 准教授 (50346003)
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Keywords | 植物 / 亜鉛 / カドミウム / トランスポーター / 選抜吸収 |
Research Abstract |
植物には必須元素である亜鉛と毒性の高いカドミウムは化学的性質が類似しており、植物へのカドミウム混入は亜鉛取り込みの輸送経路から起こると考えられる。本研究は、植物根表面で亜鉛獲得に関わるトランスポーターの特性を明らかにすることで、亜鉛取り込みの推進とカドミウム吸収抑制を行い、カドミウム汚染米などの問題解決に向けた基礎的知見を得ることを目的とした。 基本的な構造は同じだが亜鉛輸送能の有無が異なるタカネグンバイ由来二価金属トランスポーターTjZNT1と2について、N末端領域、可変領域を含むV領域、およびC末端領域に分割し、それぞれの部位を相互置換したキメラタンパク発現遺伝子を作成し、酵母で発現した。N末端領域の置換により亜鉛輸送性の有無がZNT1, 2で逆転したことから、さらにTjZNT2のみが有するN末端領域36アミノ酸残基の関与について、アミノ酸置換および短縮体・削減体を作成し、本領域の亜鉛輸送における役割について検討した。キメラタンパク質を発現する酵母を亜鉛・カドミウムおよびニッケルを含有する培地にて生育し、その輸送能力を調べた結果、TjZNT1と2の亜鉛輸送能力はTjZNT2のみが有するN末端領域の有無によって逆転することが明らかになった。さらにこの領域を削除したTjZNT2が新たに亜鉛輸送能力を獲得したことから、TjZNT2末端の36アミノ酸残基が、亜鉛輸送の阻害領域として存在することが明らかになった。本領域は予想リン酸化部位のアミノ酸置換では輸送能力は変化せず、末端からアミノ酸を短くすることによって、亜鉛の輸送能力が順次高まることも確認された。さらに、本領域の欠如によってTjZNT2発現酵母に新たにニッケル耐性が付与されることからも、この領域がZIPトランスポーターによるニッケル耐性付与に関与することが示唆された。
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Research Products
(7 results)