2006 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス条件下および酒類醸造過程における酵母mRNAの選択的核外輸送機構の解析
Project/Area Number |
18780054
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井沢 真吾 京都大学, 農学研究科, 助手 (10273517)
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Keywords | ストレス / アルコール発酵 / エタノール / mRNA核外輸送 / HSP / P-body / ポリA鎖 / 出芽酵母 |
Research Abstract |
エタノールストレス条件下におけるHSP mRNAsの転写・輸送・翻訳 真核細胞では、熱ショック条件下で大部分のmRNAの核外輸送が抑制される一方で、ヒートショックプロテイン(Hsp)などをコードする遺伝子のmRNAはスムーズに核外輸送される。つまり、ストレス耐性に必要なmRNAを優先して核外に運び、不要なmRNAは核内に留めるという「mRNAの選択的核外輸送」をおこなっていると考えられる。 出芽酵母ではエタノールストレス条件下でも大部分のmRNAの核外輸送が抑制されるが、どのmRNA種が優先的に核外輸送されるのかは不明である。そこで、エタノールストレスおよび熱ショック条件下におけるHSP遺伝子群の転写・3'-processing・mRNA核外輸送・翻訳の各段階について検討したところ、エタノールによって転写が活性化されるにもかかわらず、poly(A)鎖のhyperadenylationが引き起こされ核外輸送が抑圧されるHSP遺伝子が確認された。このような、無駄になってしまう転写活性化の生理的意義とその分子機構について解析をおこなっている。 エタノールストレスによるcytosolic processing bodyの形成促進 Cytosolic processing body(P-body)はストレス条件下において非翻訳状態のmRNAが一時的に蓄積され、ストレス状態が解除された際の速やかな回復に備えると考えられている。今回、P-bodyの構成因子であるDcp2pとDhh1pのGFP-fusionを作製し、エタノールによるP-body形成への影響を検討した。その結果、エタノール濃度の上昇に伴いP-bodyの数とサイズの増加が確認された。また、その形成は可逆的であるとともに、ワイン醸造過程でも発酵の進行に伴って促進されることを見出した。
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