2006 Fiscal Year Annual Research Report
プロリンデヒドロゲナーゼ高発現大腸菌を用いた高塩環境適応性に関する研究
Project/Area Number |
18780062
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Research Institution | Iwaki Meisei University |
Principal Investigator |
佐々木 秀明 いわき明星大学, 科学技術学部, 助手 (30405998)
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Keywords | 大腸菌 / 補償溶質 / プロリン / プロリンデヒドロゲナーゼ |
Research Abstract |
非好塩性細菌である大腸菌は,エクトインやプロリンなどを例とする補償溶質の細胞内への取り込みにより高塩分環境への適応を可能とする。大腸菌は高塩環境下においてプロリンを補償溶質として利用できるが,炭素源・窒素源として代謝する事ができず,同時に,タンパク質合成への利用も阻害される。プロリン代謝能低下の要因として,高塩環境下におけるプロリンデヒドロゲナーゼ(PutA)の発現量の低下が推測されているが,定かではない。そこで本研究では,PutA高発現大腸菌を作出し,高塩分環境への適応性の変化を観察した。 大腸菌CSH4株のputAをPCR法により増幅,発現ベクターであるpCR T7/CT-TOPOに挿入後,E.coli BL21(DE3)pLysSコンピテント細胞に導入し,PutA高発現大腸菌を作出した。この菌株は,0-1M NaClの条件下で,24時間培養を行なった結果,いずれの塩濃度下においても僅かではあるがputAの転写が観察された。また,IPTG添加により転写量は増加した。親株であるBL21(DE3)では,CSH4株由来のputAの転写は観察されなかった。PutA高発現大腸菌の増殖は1M NaCl環境下において阻害されたが,プロリン添加により回復した。一方,IPTGを添加した場合はプロリンがあるにも関わらず低い増殖能を示した。PutA高発現大腸菌は,IPTG添加時にPutAが高発現されPutAがプロリンを代謝,その結果プロリンを補償溶質として利用できなかったため,1M NaClの環境下において増殖能力が低下したと考えられた。
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