2006 Fiscal Year Annual Research Report
プルラン分解酵素の糖転移反応を用いたオリゴ糖合成とそれが腸内細菌増殖に与える影響
Project/Area Number |
18780076
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
志村 洋一郎 秋田県立大学, 生物資源科学部, 助教 (60332920)
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Keywords | 糖 / 酵素 / バイオマス |
Research Abstract |
近年、疾病予防や健康志向の高まりから腸内環境の改善が望まれており、特に、腸管を通した免疫系の活性化、ビタミン類の合成および消化などに腸内細菌が重要であることから、プロバイオティクスやプレバイオティクスなどの研究が盛んに行われている。 これまでに、本申請者らは、Thermoactinomyces vulgaris R-47から遺伝子クローニングされたプルラン分解性アミラーゼ(TVA II)について、変異型酵素を構築し性質を比較するとともにX線構造解析を行い、その基質認識機構などの研究を行ってきた。TVA IIはプルランを水解し三糖パノースを生成するが、それは口腔内細菌に資化されないため、腸内にまで到達すると考えられている。また、TVA IIは、その反応系に供与体としてプルラン、受容体としてグルコースが存在するとそのC4位あるいはC6位にプルラン水解物のパノシル基を転移し二種の四糖を生成する。そのため、この糖転移移反応により生成したオリゴ糖のプレバイオティクスとしての可能性に着目し研究を進めている。 平成18度は、TVA IIの糖転移反応受容体特性を主に検討した。供与体としてプルラン、受容体として単糖類7種類、二糖類6種類、および一級アルコール・糖アルコール類9種類を用い、転移生成物の確認は薄層クロマトグラフィ(TLC)と高速液体クロマトグラフィ(HPLC)により行なった。単糖類7種類のうち5種類と二糖類6種類とでTLCにより転移生成物が確認された。TLCにより生成物が顕著に確認されたものについてHPLC分析を行ったが、転移生成物が検出されない場合もあった。アルコール・糖アルコール類の場合はTLC板上での二つの方法により生成物を検出した。一級アルコール類の場合は、二方法での結果を比較し非還元オリゴ糖の生成が確認された。現在、生成したオリゴ糖の構造決定および腸内細菌増殖への影響を検討するために、大量精製しているところである。
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