2006 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子工学的手法を用いたグース型リゾチームの活性発現および構造安定性機構の解明
Project/Area Number |
18780080
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Research Institution | Kyushu Tokai University |
Principal Investigator |
河村 俊介 九州東海大学, 農学部, 助教授 (10331076)
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Keywords | リゾチーム / グース型 / 触媒機構 / 構造安定性 / 部位特異的変異法 / ジスルフィド結合 / 2状態変性 |
Research Abstract |
グース型リゾチームはニワトリ型リゾチームと比較して極めて研究が遅れており、その触媒反応機構や構造安定性機構の詳細は殆ど明らかでない。グース型リゾチームでは、2本のジスルフィド結合(Cys4-Cys60)と分子内コア構造を形成する3つのαヘリックス(H5,H7,H8)は種間で高く保存されており、グース型リゾチームの立体構造形成における重要性が予測される。平成18年度では、ジスルフィド結合に関与するCys残基をSerに置換した3種のジスルフィド結合欠失変異体(C18S/C29S, C4S/C60S, C4S/C18S/C29S/C60S)を作製し、触媒活性や構造安定性への影響を詳細に解析した。作製した変異体の遠紫外部CDスペクトル、基質結合力、溶菌活性およびN-アセチルグルコサミンの5量体に対する触媒活性は野生型(WT)と比較して大きな変化は無く、2本のジスルフィド結合はグース型リゾチームのフォールディングや触媒活性に必須ではないことが示された。しかしながら、各変異体の熱力学的安定性は大きく低下した。すなわち、C18S/C29S, C4S/C60S, C4S/C18S/C29S1C60Sの熱安定性は、それぞれ-3.21kcal/mol、-4.85kcal/mol、-7.80kcal/mol減少し、各ジスルフィド結合の安定性への寄与は加算的であった。この安定性の低下は、変性剤であるGdnHC1に対する安定性においても同様に見受けられた。さらに、還元剤存在下でのWTの熱安定性は、変異体C4S/C18S/C29S/C60Sとほとんど同じであり、C4S/C18S/C29S/C60Sの酵素活性の至適温度はWTと比べて20℃低下した。また、変異体C4S!C18S/C29S/C6・Sの変曲線をCDで解析した結果、蛍光分析から得られた変性曲線と一致した以上の結果より、2本のジスルフィド結合は、それぞれ独立して安定性に寄与することで、グース型リゾチームの構造安定性に重要な役割をはたす」とが明らかとなった。さらに、ダース型リゾチームは、ジスルフィド結合を全て欠失してもWTと同様に2状態変性をたどることも明らかとなった。
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