2007 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子工学的手法を用いたグース型リゾチームの活性発現および構造安定性機構の解明
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18780080
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Research Institution | Kyushu Tokai University |
Principal Investigator |
河村 俊介 Kyushu Tokai University, 農学部, 准教授 (10331076)
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Keywords | リゾチーム / グース型 / 触媒機構 / 構造安定性 / 部位特異的変異法 / ジスルフィド結合 / 2状態変性 |
Research Abstract |
ゲース型リゾチームはニワトリ型リゾチームと比較して研究が遅れており、その触媒機構や構造安定性機構の詳細は殆ど明らかでない。ゲース型リゾチームでは、2本のジスルフィド結合(Cys4-Cys60, cys18-Cys29)と分子内コア構造を形成する3つのαヘリックス(H5,H7,H8)は種間で高く保存されており、グース型リゾチームの立体構造形成における重要性が予測される。平成19年度では、昨年度から継続してジスルフィド結合の役割を解明するとともに、H8に位置し、H5に存在する触媒基Glu73と水素結合を形成しているTyr169に関する研究を行った。ジスルフィド結合は変性状態のエントロピーと立体構造の揺らぎに関与することで、グース型リゾチームの安定性に重要であることを明らかにした。一方、Tyr169に関しては、PheとAlaに置換した2種の変異体(Y169F,Y169A)を作製し、触媒活性や構造安定性への影響を解析した。作製した変異体の遠紫外部CDスペクトルと基質結合性も、それぞれ-0.71kcal/molと-7.19kcal/molと減少した。各変異体で見られた安定性の低下は、変性剤であるグアニジン塩酸においても同様に見受けられた。さらに、安定性が大きく低下したY169Aの熱安定性をCDで解析した結果、蛍光分析から得られた変性曲線と一致した。以上の結果より、分子内コアに位置し、触媒基Glu73と相互作用するTyr169は、その側鎖のベンゼン環の疎水的性質を介して、活性部位の構造を安定化することで、グース型リゾチームの触媒活性と構造安定性の両方に重要な役割を持つことが強く示唆された。
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