2006 Fiscal Year Annual Research Report
ウシ脳由来機能性細胞株の樹立及びその利用技術の開発
Project/Area Number |
18780081
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
竹之内 敬人 独立行政法人農業生物資源研究所, 遺伝子組換え家畜研究センター, 主任研究員 (20292518)
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Keywords | ウシ細胞株 / 内皮細胞 / 平滑筋細胞 / プリオン蛋白 |
Research Abstract |
牛海綿状脳症(BSE)は異常型プリオン蛋白が病原体と考えられるプリオン病の一つであり、ヒトの新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病との関連が疑われている。本研究では、主にBSEプリオンのin vitro細胞感染モデル系作出のための候補となりうるウシ胎子脳由来の細胞株の樹立を目的とする。凍結保存したウシ胎子脳組織を酵素処理により分散した後、10%ウシ胎子血清、上皮細胞増殖因子(EGF)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)などを添加した培地で培養を行い、不死化を目的としてSV40-large T遺伝子の導入を行った。樹立された2種類の新規細胞株は敷石状の形態を呈し、集団倍加数200回以上の増殖能を持っていた。またその細胞増殖能の維持にはbFGFの添加が重要であることがわかった。免疫染色の結果、内皮細胞マーカーであるvon Willebrand Factor (vWF)に陽性であった。さらに培地中からEGF、bFGFを除くことによって平滑筋細胞マーカーであるα-smooth muscle actin陽性の細胞が増加した。内皮細胞としての機能を検討したところ、マトリゲル上での培養で血管様の管状網目構造が構築され、さらにDiI-labeled acetyl-low density lipoprotein (DiI-AcLDL)の取込みも観察された。これらの結果から、今回樹立されたウシ細胞株は脳内血管を形成する内皮細胞様の性質を持つ細胞株であると推察された。また、内皮細胞から平滑筋細胞への分化転換(transdifferentiation)のモデルとして使える可能性が示唆された。これらの細胞株には正常型ウシプリオン蛋白の発現が確認されたことから、BSEプリオンのin vitro感染実験に利用できる可能性も示唆された。
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Research Products
(1 results)