2006 Fiscal Year Annual Research Report
薬用植物甘草の有用トリテルペン生合成に関わる転写制御因子の統括的解析
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18780082
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
関 光 独立行政法人理化学研究所, 多様性代謝研究チーム, 研究員 (30392004)
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Keywords | 薬用植物甘草 / トリテルペンサポニン / グリチルリチン / 完全長cDNAライブラリー / 転写制御因子 / 生合成遺伝子 / P450モノオキシゲナーゼ / UDP-糖転位酵素 |
Research Abstract |
薬用植物カンゾウ(Glycyrrhiza uralensis Fish., G.glabra L.)は、マメ科の多年生草本であり、その地下部(肥大根およびストロン)は、医薬品および食品添加物原料として需要の大きいトリテルペンサポニンを含有する。本研究では、グリチルリチンに代表されるカンゾウの有用トリテルペンの生産制御に関わる転写制御因子を明らかにすることを目的としている。 平成18年度内における研究成果は、1)ストロン組織をソースとする完全長cDNAライブラリー(約32,000クローン)を構築・解析し、得られた配列情報を基にオリゴDNAアレイを設計した。2)相同性検索から、全体の4〜5%のcDNAクローンが転写制御因子をコードすることを見出した。3)グリチルリチン生合成はメチルジャスモン酸やエリシター処理による影響を強く受けることが知られていることから、これらのストレス応答との関わりが良く知られている転写因子ファミリーとしてAP2/ERF(38分子種)及びWRKY(21分子種)転写因子ファミリーを優先し全長塩基配列を決定・構造比較を行った。4)グリチルリチンを蓄積する器官(肥大根、ストロン)および蓄積が見られない器官(葉、地上茎、培養細胞)を材料とした遺伝子発現解析に着手した。5)グリチルリチン生合成には、前駆体であるβ-アミリンを基質とするP450モノオキシゲナーゼおよびUDP-糖転位酵素が関与すると考えられるが、それら生合成遺伝子は未同定である。グリチルリチン生合成に関わる生合成遺伝子が特定できれば、「制御配列(プロモーター領域中のシス配列)の解析→シス配列に作用する転写因子の単離」といったアプローチが可能となる。そこで研究代表者は、グリチルリチン生合成遺伝子の探索にも着手し、構築した完全長cDNAライブラリーの中から幾つかの候補P450モノオキシゲナーゼおよびUDP-糖転位酵素を特定し、機能解析に着手した。
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