2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18780091
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
甲斐田 大輔 独立行政法人理化学研究所, 吉田化学遺伝学研究室, 基礎科学特別研究員 (60415122)
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Keywords | mRNA / スプライシング |
Research Abstract |
ビオチン化FR901464とストレプトアビジンビーズを用いてHeLa細胞抽出液より、FR901464標的タンパク質をプルダウンした。プルダウンされたタンパク質をSDS-PAGEののち、クマシー染色したところ、FR901464結合タンパク質として数本のバンドが検出された。これらのバンドをゲルから切り出し、質量分析によりタンパク質を同定したところ、いくつかのスプライシングに関わるタンパク質が同定された。FR901464とこれらのタンパク質との結合を、これらのタンパク質特異的な抗体を用いウェスタンブロッティングにより確認した。また、ビオチン化FR901464を用いてプルダウンする際にフリーのFR901464を加え競合実験を行なったところ、結合が阻害されたので、この結合が特異的であることも確かめられた。さらに、活性を持たないFR901464の類縁体を用い同様の実験を行なったところ、この結合を阻害することはなかった。この結果から、標的分子への結合の強さと化合物の活性とのあいだには相関関係があることが示唆された。 次に、FR901464が標的タンパク質に結合し、その機能を阻害することがpre-mRNAの蓄積とその翻訳の原因であるかどうかを確かめるため、siRNAを用いたノックダウン実験を行なった。ノックダウン細胞ではFR901464処理細胞同様pre-mRNAの翻訳が観察された。さらに、細胞をFR901464で処理すると、スプライシング因子であるSC35の局在が変化するが、ノックダウン細胞内でも同様にSC35の局在が変化していた。以上のことから、FR901464は標的タンパク質に結合することにより、その機能を阻害し、pre-mRNAの蓄積、翻訳を引き起こすことが強く示唆された。
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