2006 Fiscal Year Annual Research Report
ひも状ミセルを利用したエマルションゲルの創製とレオロジー特性の制御
Project/Area Number |
18780094
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
荒牧 賢治 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 助教授 (80313469)
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Keywords | ひも状ミセル / エマルション / 増粘効果 / 分子集合体 / 可溶化 / 相転移 / トリグリセリド |
Research Abstract |
アニオン性界面活性剤SDS、カチオン性界面活性剤CTAB、ポリオキシエチレン型非イオン界面活性剤のミセル水溶液に親油性の非イオン界面活性剤C_<12>EO_3を添加することにより、ミセル構造が球状から棒状に変化し、最終的に高分子鎖のように1次元方向に延びたひも状ミセルを形成する。その結果、溶液の粘性、弾性が急激に増加するが、この増粘水溶液に油を分散させることで増粘したエマルションを得ることを目的として研究をおこなった。水、界面活性剤混合物、油の疑似3成分系における一定温度での状態図作成および小角X線散乱測定の結果から、ヘプタン、デカン、ヘキサデカン、スクアランなどの炭化水素をミセル水溶液に添加することにより油はミセル中に可溶化され、ひも状ミセルから球状ミセルへの転移を引き起こし、ミセル溶液相から非連続型キュービック相への相転移を引き起こすことがわかった。これにより当初目標であるひも状ミセルにより増粘したエマルションを得ることはできないが、油過剰組成ではキュービック相により増粘したエマルションを得ることができた。一方、オリーブ油、流動パラフィンを用いたときは相転移は起こさず、油過剰組成においてひも状ミセルにより増粘したエマルションを得ることができた。これは油の分子量が大きいオリーブ油や流動パラフィンなどはミセル中に可溶化されにくく、ミセル相に添加することにより直ちに相分離するため、分子集合体構造に影響を与えないためであると考えられる。これにより本研究で目的としているひも状ミセルにより増粘させたエマルションは食品、医薬品、化粧品製剤技術に適していることがわかった。
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