2006 Fiscal Year Annual Research Report
共役二重結合をもつリノレン酸による血管新生の調節機能と展開
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18780099
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
都築 毅 宮城大学, 食産業学部, 助手 (00404848)
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Keywords | 共役脂肪酸 / 血管新生 / リノレン酸 / エレオステアリン酸 / 共役リノール酸 / 共役リノレン酸 / キリ / ニガウリ |
Research Abstract |
天然には、通常の二重結合ではなく共役化した二重結合をもつ共役脂肪酸が存在する。牛肉や乳製品には、リノール酸の幾何、位置異性体である共役リノール酸(CLA)が、含まれている。CLAは抗発癌作用、脂質代謝改善作用、動脈硬化抑制作用、免疫増強作用、骨代謝改善作用などが認められ、健康補助食品として販売されている。一方、天然にはCLA以外にも共役二重結合をもつ脂肪酸が存在する。キリやニガウリ、ザクロなど、ある種の植物種子には共役リノレン酸が存在している。CLAについてはさかんに研究されているが、共役リノレン酸は食品成分として摂取している可能性はあるものの、生理活性や栄養的な調査はほとんどされていなかった。この共役リノレン酸に興味をもち共役リノレン酸について研究すると共役リノレン酸に癌抑制機構の一つとして血管新生阻害作用のあることが示唆された。 血管新生は既存の血管から新たな血管ができる現象であり、内皮細胞の増殖、遊走および管腔形成の3過程を経て進む。この現象は癌、動脈硬化、糖尿病性網膜症、リュウマチ性関節炎などの多くの難治性疾患の発症と進展に深く関与する。したがって、血管新生をターゲットとした癌治療が近年注目を集めている。本研究は平成18-19年度の二年間で行い、その間に、血管新生阻害作用が発見された共役リノレン酸の作用機構と実用性を培養細胞実験と動物実験で明確にする。そして、平成18年度では、天然由来の共役リノレン酸やその他共役脂肪酸による血管新生阻害機構を培養細胞実験で明らかにした。そして、活性の高い共役脂肪酸としてキリやニガウリ種子に含まれているエレオステアリン酸を見出し、平成19年度に行う動物試験の準備をした。平成19年度では、平成18年度の結果からエレオステアリン酸について血管新生阻害物質としての実用性を鶏胚漿尿膜法および移植癌動物実験で明確にし、エレオステアリン酸について吸収や代謝を動物実験で明確にし、血管新生阻害物質としての臨床へ応用するのに十分な情報を揃える予定である。
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