2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト培養細胞を用いた抗酸化物質の活性・遺伝毒性同時評価系の開発
Project/Area Number |
18780105
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
松藤 寛 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (70287605)
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Keywords | 食品 / 遺伝毒性 / 抗酸化性 / フラボノイド |
Research Abstract |
天然・食品由来の抗酸化物質は、生活習慣予防の観点から数多くの研究がなされ、その有効利用として高含有食品やサプリメントの開発が鶴首されている。一方、食品の安全性を明確にしておくことは必務であり、今後食品成分のみならず、活性発現後の修飾や他の物質との複合による安全性、さらには量的な問題など多面的に考える必要があり、その評価系の確立が急務となっている。そこで本研究では、ヒト培養細胞を用い、in vitro機能・安全同時評価系の確立を目的とした。 抗酸化フラボノイド、ケルセチン(QC)に着目し、活性酸素種(ROS)存在下および非存在下における遺伝毒性についてヒトリンパ芽球細胞TK6を用いて検討した。その結果、ROS非存在下においてはQCは従来の報告のとおり、弱い遺伝毒性を示した。一方、ROS存在下においては低濃度のQCはROSの毒性を軽減したが、高濃度においてはより強い遺伝毒性を示し、QCが抗酸化作用を示した後、遺伝毒性物質を生成している可能性が示唆された。しかし、この系は血清培地中でQCとROSを処理していることから、血清タンパクがQCとROSの反応に関与し、反応系が複雑になることが考えられた。そこで、血清タンパクを除いた培地中でQCを処理した。その結果、ROS非存在下ではQCは血清培地中と比べ強い遺伝毒性を示し、QCと血清タンパクが反応していたことが判明した。本条件下にて、QCとROSを反応させたところ、QCはROSの遺伝毒性を濃度依存的に抑制し、改めて抗酸化性を示すことが明らかとなった。次いで、細胞をROSで処理、洗浄後、これにQCを加え、遺伝毒性の抑制効果について検討した。その結果、抑制効果は認められず、逆にQC自身による毒性により遺伝毒性は上昇した。これらのことから、QCはROSと直接反応し、その遺伝毒性を軽減するが、ROSによってダメージを受けた細胞に対しては遺伝的修復は行わず、自身による遺伝毒性によりその毒性を促進することが判明した。
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Research Products
(1 results)