2006 Fiscal Year Annual Research Report
木本植物のアルミニウム集積を伴う強力なアルミニウム耐性の解析
Project/Area Number |
18780111
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大澤 裕樹 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (90401182)
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Keywords | ツバキ科 / 酸性土壌 / ヒメシャラ / 落葉 / チャ |
Research Abstract |
酸性土壌で毒性を示すアルミニウム(A1)は、多くの植物で地上部に移行しない。チャなど一部の低木種が地上部にA1を多量に集積するが、チャ以外のツバキ科種のA1集積や、A1集積による生育上の利点は明らかでない。本研究において、異なる野外環境に生育するツバキ科8種のA1集積特性を調査した。その結果、モッコク以外のツバキ科7種の成熟葉のA1量が、全ての採取地と採取時期で1,000μg g^<-1>(DW)を大きく上回ることを明らかにした。成熟葉のA1集積量は、とりわけヒメシャラとヒサカキで多く、サカキで少なく、酸性条件での土壌pHや個体のサイズに依存しないことがわかった。これらの結果から、遺伝的な相同性や科レベルの相違と明瞭な対応関係はないものの、ツバキ科種の葉のA1集積の多少は種レベルで規定されることが示唆された。また、全ての常緑性ツバキ科における葉のA1集積は飽和する可能性が、4月から10月まで大きく増加しなかった結果から示唆された。落葉性のヒメシャラとナツツバキの成熟葉は、10月までに常緑性ツバキ科種と同等もしくはより多量のA1を集積することがわかった。落葉期にヒメシャラの葉のA1量がわずかに減少したことから、葉の老化に伴って葉に集積したA1が再移動する可能性が示唆された。ヒメシャラの根のA1量は10,000μg g^<-1>以下で、成熟葉と比べて少なかった。また、ヒメシャラの幹木部や篩部のA1量は1,000μg g^<-1>以下だったが、樹皮や表皮のA1量は1,000μg g<-1>以上だった。太さ約1cm以下の枝のA1量は1,000μg g<-1>以上だった。冬芽や種子のA1量は1,000μg g<-1>程度だった。また、12mまでの高さの着生葉にA1量の違いがなかったことから、根からの距離によらずに葉に多くのA1が集積することがわかった。
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