2007 Fiscal Year Annual Research Report
安定同位体を用いた東アジア・太平洋地域における森林のガス交換最適化マッピング
Project/Area Number |
18780115
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
松尾 奈緒子 Mie University, 大学院・生物資源学研究科, 講師 (00423012)
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Keywords | 酸素安定同位体比 / 炭素安定同位体比 / 葉有機物 / 気孔コンダクタンス / 水利用効率 / 同位体濃縮 / 同位体分別 |
Research Abstract |
アジア地域に分布する多様な植生のガス交換の環境応答と,その順応性の理解が,地球環境問題に対する植物の役わりを明確にするため重要課題となっている。森林のガス交換特性は水利用効率と気孔コンダクタンスを指標として評価することができ,それぞれ葉の炭素安定同位体比(δ^13C)と酸素安定同位体比(δ^18O)に反映することが理論的に示されている。そこで昨年度から熱帯雨林(半島マレーシア),熱帯雨林(ボルネオ),熱帯季節林-常緑林(タイ),熱帯季節林-落葉林(タイ),半乾燥地(中国内蒙古),乾燥地(ウズベキスタン)などにおいて葉をサンプリングし,その有機物中のδ^13Cとδ^18Oの測定を行ってきた。その結果,乾燥地の植物は気孔コンダクタンスが小さく水利用効率が大きいこと,熱帯雨林の植物はその逆であることがわかった。これより,植物の水利用効率と蒸散特性は利用できる水の量に応じて決まっていること,水利用効率が大きい植物ほど気孔コンダクタンスを小さく保っていることなどを明らかにした。 また,蒸散による葉有機物の酸素安定同位体分別は,理論的には相対湿度と温度,気孔コンダクタンス,セルロース合成時の酸素安定同位体交換率などによって決まるとされるが,実際の野外の植物に適用した例はほとんどなかった。そこで,葉の蒸散速度と葉内の水のδ^18Oを測定し,自由水面からの蒸発を表すCraig-Gordonモデルや移流拡散の効果を考慮したPecletモデルなどに適用し,理論の検証を行った。その結果,蒸散にともなう葉内水のδ^18O濃縮を再現することができた
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Research Products
(6 results)