2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18780118
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
寺本 行芳 鹿児島大学, 農学部, 助手 (10301392)
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Keywords | 地震 / 水文特性 / 侵食特性 / 土砂生産・流出 / 流出過程 / 流出モデル |
Research Abstract |
本研究の目的は、地震による水文・侵食環境の変化とその後の回復過程、およびそれを支配する要因について現地調査と現地観測に基づいて明らかにするとともに、地震後に発生した土石流の流出モデルを作成することにより、土石流の発生と規模を経年的に予測し、防災に生かすことである。本年度は、(1)調査流域における水文観測、(2)調査流域における崩壊調査、(3)調査流域における堆積物および植生回復からみた土砂移動の履歴の調査、について現地調査を行った。得られたおもな結果をまとめると次のようになる。 1997年鹿児島県北西部地震の影響を大きく受けた調査流域を対象にして、過去に撮影された時代の異なる複数の空中写真を用いて、斜面崩壊および土石流の発生の履歴について検討した。その結果、調査流域ではこれまでも多数の斜面崩壊および土石流が発生し、多量の土砂が生産・流出していることが確認された。さらに、地震発生直後の方が、発生前よりも少ない雨で斜面崩壊が発生し、その規模も大きくなっていることが明らかになった。また、調査流域内に複数の土壌断面を設定し、土砂堆積状況、粒度、色調等について調査を行った結果、断面は複数の層をなしており、土石流が複数回発生していることが裏付けられた。さらに、調査流域内における斜面崩壊跡地の植生調査および土層調査を実施した結果、地震の前後で樹木の生長量が異なっていることが明らかになった。 さらに、1997年鹿児島県北西部地震に伴い斜面崩壊・土石流が多数発生した、花南岩流域における流出特性について、現地調査および地形解析の結果に基づいて検討した。その結果、花崗岩流域における地下水流量が、緩斜面の面積およびマサの土量に関係していることを明らかにした。
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