2007 Fiscal Year Annual Research Report
新たな生化学的手法を用いた周極域土壌有機物の蓄積・消失プロセスの解明
Project/Area Number |
18780120
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
保原 達 Rakuno Gakuen University, 環境システム学部, 講師 (70391159)
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Keywords | 溶存態有機物 / 極域 / 養分添加 / 環境変動 |
Research Abstract |
今年度は、昨年度土壌生化学及び海洋物質動態の研究分野から導入した溶存態有機物のキャラクタリゼーション法を、さらに様々な極域生態系土壌に適用した。特に、今後起こりうる環境変動である地球温暖化が土壌の分解および可給態養分の増大をもたらすと考えられ、その影響として、養分添加が溶存態有機物のキャラクターや動態に与える影響について、極域ツンドラの長期養分施肥サイトを利用して調査を行った。その結果、土壌溶液中濃度は、無機態窒素添加区においては減少し、無機態リン添加区においてはやや増加し、両方添加した区においてはその中間ほどの値を示した。このことは、養分添加により微生物活性の増加に伴って溶存態有機物量が減少するとされるこれまでの知見と異なる、新しいものであった。こうした量的な違いはみられたものの、溶存態有機物のキャラクタリゼーションの結果では、対照区、窒素添加区、リン添加区、窒素・リン添加区のいずれにおいても、分子量分画に基づく溶存物質の質的変化はみられなかった。また、土壌から抽出可能な無機態リン濃度がリン添加区及び窒素及びリン添加区において高い値を示し、さらに抽出可能な溶存態有機物量もリン添加区において高くなっていた。これらのことから、リン施肥による無機態リンの増加が溶存態有機物の溶脱を引き起こしたと考えられた。これまでの研究からも、リンは土壌中の溶存態有機物よりも吸着力が高く、溶存態有機物を脱着させうるとの示唆はされてきていた。本研究結果は、今後の環境変動により生じる養分状態の変化が、溶存態有機物の、量的な動態変化に影響する可能性を特に強く示唆するものであった。
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Research Products
(2 results)