2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18780123
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
二村 典宏 独立行政法人森林総合研究所, 生物工学研究領域, 主任研究員 (80343804)
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Keywords | スギ / 雄花 / 花粉形成 / 遺伝子 |
Research Abstract |
本研究は、スギEST情報を利用して雄性不稔性に関わる遺伝子を特定することを目的としている。そのためには、雄性不稔に関わる可能性のある遺伝子をスギESTから抽出し、その遺伝子が正常個体と雄性不稔個体で発現特性が異なるかを検証する必要がある。本年度の研究実績は以下の通りである。 1.スギEST情報からの雄性不稔候補遺伝子の抽出 シロイヌナズナ等モデル植物のゲノム情報から、雄性不稔や花粉発達に関わる遺伝子の情報を収集した。雄性不稔の原因となる遺伝子、タペータムで発現する遺伝子、単核期の小胞子で発現する遺伝子を合計で739選び、これまでに報告されているスギESTと相同性検索した。その結果、254のスギESTがモデル植物から収集した遺伝子と相同性を示した。これらのESTを雄性不稔遺伝子の候補とした。 2.スギ正常個体と雄性不稔個体の発達過程の比較観察とRNAの抽出 スギ富山不稔1号のF1ヘテロ個体を掛け合わせたF2個体を材料として、正常個体と雄性不稔個体の雄花発達過程を観察した。7月にジベレリンを散布して雄花形成を誘導し、9月から12月にかけて定期的に雄花を採取した。F2正常個体及び雄性不稔個体における発達過程を顕微鏡観察した結果、四分子を形成する10月上旬までの雄花形成に違いは殆ど認められなかった。不稔個体では、10月下旬に四分子から放出される小胞子が急速に崩壊することが判明した。 さらに、正常個体と雄性不稔個体の雄花発達過程における遺伝子発現様式の違いを今後解析するため、定期的に採取した雄花からRNAを抽出した。
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