2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18780123
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
二村 典宏 Forestry and Forest Products Research Institute, 生物工学研究領域, 主任研究員 (80343804)
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Keywords | スギ / 雄花 / 花粉形成 / 遺伝子 |
Research Abstract |
本研究は、スギEST情報を利用して雄性不稔性に関わる遺伝子を特定することを目的としている。昨年度、モデル植物で報告されている雄性不稔原因遺伝子等の情報とスギESTの相同性検索から、スギの雄性不稔候補遺伝子を選抜したが、最終的に少数の遺伝子にまで絞り込むことはできなかった。そのため、本年度は雄花で発現する遺伝子情報をできる限り多く収集し、得られたEST情報をもとにマイクロアレイを作製した。これにより、雄花で発現する遺伝子の網羅的解析による候補遺伝子の抽出が行えるようになった。現在、正常個体と雄性不稔個体の雄花で発現する遺伝子の網羅的な比較解析を進めている。 本年度の研究実績は以下の通りである。 1.スギ雄花に由来するEST情報の充実と、既知のEST情報との統合 異なる発達段階のスギ雄花に由来する完全長cDNAライブラリーからESTを収集した。これまでに報告されたものも含む総計56,000以上のスギESTの統合作業を行った結果、22,882のクラスタ配列にまとめられた。 2.DNAマイクロアレイの設計 22,882のクラスタ配列の塩基配列情報をもとに、各クラスタ配列に対応する複数の60merオリゴヌクレオチドプローブを設計し、DNAマイクロアレイを構築した。 3.DNAマイクロアレイ解析を用いた正常個体と雄性不稔個体の雄花における発現遺伝子の比較 9月下旬(花粉母細胞期)、10月中旬(減数分裂・四分子期)、11月初め(小胞子期)に、正常個体と雄性不稔個体の雄花から抽出したRNAを用いて、マイクロアレイによる発現遺伝子の網羅的解析を現在進めている。これにより、雄性不稔個体と正常個体の花粉発達過程で発現量の異なる遺伝子が明らかになり、雄性不稔性に関わる遺伝子を絞り込むことができると期待される。
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