2006 Fiscal Year Annual Research Report
病原体とその媒介者の両方をターゲットにしたマツ材線虫病の微生物的防除
Project/Area Number |
18780124
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
前原 紀敏 独立行政法人森林総合研究所, 森林昆虫研究領域, 主任研究員 (20343808)
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Keywords | マツノザイセンチュウ / マツノマダラカミキリ / 青変菌 / 兵糧攻め菌 / 線虫寄生菌 / 昆虫病原菌 |
Research Abstract |
本研究の目的は、病原体マツノザイセンチュウ(以下線虫と略記)とその媒介者マツノマダラカミキリ(以下カミキリと略記)成虫の両方をターゲットにしたマツ材線虫病の微生物的防除法を開発することである。線虫に対しては、その餌となる青変菌の繁殖を抑制する「兵糧攻め菌」および線虫を直接殺す能力のある「線虫寄生菌」をマツが枯死した晩夏から初秋にかけて施用する。カミキリ成虫に対しては、カミキリを直接殺す能力のある「昆虫病原菌」を翌年の初夏(カミキリが羽1化脱出する時期)に施用する。線虫に対して抑制の仕方が違う2つの菌を用いることで、また病原体とその媒介者の両方をターゲットにすることで、カミキリによる健全木への線虫の伝播を阻止するという微生物的防除法において相乗効果が期待できる。 1.前年に施用した兵糧攻め菌・線虫寄生菌の効果の判定 前年に菌を施用した予備試験の結果、繰り返しの数は少ないが、兵糧攻め菌・線虫寄生菌にカミキリが保持する線虫数を減少させる効果が見られた。 2.線虫寄生菌の増殖・施用方法の開発 線虫寄生菌は種駒で増殖・施用するとよいこと、及び兵糧攻め菌・線虫寄生菌の種駒は少なくとも4か月は冷蔵保存が可能であることが明らかになった。 3.枯死木への兵糧攻め菌・線虫寄生菌の施用 上記の結果を踏まえ、夏に線虫を接種して衰弱させ、カミキリが産卵したアカマツを伐倒・切断し、そこに種駒で兵糧攻め菌・線虫寄生菌を施用した。その際、兵糧攻め菌および線虫寄生菌の単独施用区と両者同時施用区を設けた。丸太は野外網室に入れ、その後定期的に施用菌の広がりを確認している。
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