2007 Fiscal Year Annual Research Report
病原体とその媒介者の両方をターゲットにしたマツ材線虫病の微生物的防除
Project/Area Number |
18780124
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
前原 紀敏 Forestry and Forest Products Research Institute, 東北支所, 主任研究員 (20343808)
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Keywords | マツノザイセンチュウ / マツノマダラカミキリ / 青変菌 / 兵糧攻め菌 / 線虫寄生菌 / 昆虫病原菌 |
Research Abstract |
本研究の目的は、病原体マツノザイセンチュウ(以下線虫と略記)とその媒介者マツノマダラカミキリ(以下カミキリと略記)成虫の両方をターゲットにしたマツ材線虫病の微生物的防除法を開発することである。線虫に対しては、その餌となる青変菌の繁殖を抑制する「兵糧攻め菌」および線虫を直接殺す能力のある「線虫寄生菌」を、カミキリ成虫に対しては、カミキリを直接殺す能力のある「昆虫病原菌」を用いることで、カミキリによるマツ健全木への線虫の伝播を阻止する。 1.施用菌の繁殖の確認 兵糧攻め菌は接種したアカマツ枯損木丸太での繁殖が確認できたが、線虫寄生菌の繁殖は確認できなかった。 2.兵糧攻め菌・線虫寄生菌・昆虫病原菌接種の効果の判定 兵糧攻め菌には、丸太からの脱出時にカミキリ成虫が保持していた線虫数を対照区と比べて減少させる効果が見られたが、線虫寄生菌にはその効果が認められなかった。脱出直後に昆虫病原菌を接種されたカミキリは、接種後平均8.6日で死亡したのに対し、対照区のカミキリは全個体が調査期間(32日)内には死亡しなかった。その結果、昆虫病原菌は、生存(摂食)期間を短縮することで、カミキリが脱出時に保持していた線虫数に占める摂食時にマツ健全枝に伝播した線虫数の割合を低下させた。以上のことにより、兵糧攻め菌と昆虫病原菌を併用することで、健全枝への線虫の伝播数を各菌単独接種の場合より減少させることができ、両菌に線虫伝播数減少における相乗効果が見られた。
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