2008 Fiscal Year Annual Research Report
日本侵入100年後のマツノザイセンチュウの遺伝的構造と生物学的特性の解明
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18780128
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
秋庭 満輝 Forestry and Forest Products Research Institute, 森林微生物研究領域, 主任研究員 (50353553)
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Keywords | マツ材線虫病 / マツノザイセンチュウ / 遺伝的構造 / 侵入病害 |
Research Abstract |
本研究は、日本各地のマツノザイセンチュウの遺伝的構造を明らかにすることにより、日本国内におけるマツノザイセンチュウの系統の現時点での分布状況とそれらの系統の生物学的特性を明らかにすることを目的としている。 本年度は、これまでに採集して分離培養したマツノザイセンチュウのアイソレイト(培養系統)を用いてAFLP法による解析を行った。マツ材線虫病の被害歴史の古い地域である近畿・中国地方よりも被害歴史の新しい東北地方のマツノザイセンチュウの遺伝的分化は小さかった。岩手県と宮城県、秋田県と山形県のアイソレイト間でそれぞれ同一のAFLP型を示すものがあり、それぞれの地域でマツノザイセンチュウが拡大していったことが想定された。また、東北地方と四国地方のアイソレイトにも同一のAFLP型を示すものが認められたことから、遠距離間のマツノザイセンチュウの中にも起源が同一のものが存在する可能性が示された。沖縄島のアイソレイトはそれ以外とは異なるAFLP型を示した。一方、同じ離島でも種子島内ではアイソレイト間の遺伝的分化の程度が比較的大きかった。以上のことから、各地域では材線虫病侵入の歴史の程度によって遺伝的分化の程度が異なることが推察された。
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