2006 Fiscal Year Annual Research Report
土壌中における二酸化炭素濃度の鉛直・水平分布と時間変動の解明
Project/Area Number |
18780130
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
安田 幸生 独立行政法人森林総合研究所, 東北支所, 主任研究員 (50353892)
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Keywords | 森林土壌 / 二酸化炭素濃度 / 空間分布 / 時間変動 |
Research Abstract |
本研究は、土中埋設用二酸化炭素(CO_2)濃度計の多数埋設によって森林土壌中における二酸化炭素濃度の水平・鉛直分布とその時間変動特性を明らかにすることを目的としている。本年度は、ブナ二次林(岩手県八幡平市安比高原)の林内に、25台のCO_2濃度計を設置し、森林土壌中におけるCO_2濃度の連続測定を2006年9月末より開始した。濃度計の埋設深度は0〜40cmであり、直径20cmの縦穴を5本掘り、濃度計を5台ずつ埋設した。なお、縦穴の間隔は約1mとした。この測定により、土壌中CO_2濃度の時間変動と空間分布を捉えることができている。 森林土壌中のCO_2濃度は深さとともに増加し、20cm以深では10000ppmを越えることもあった。表層(深さ0cm)でのCO_2濃度変動では、日周期成分が卓越したが、それより深い層では、4〜7日周期の変動成分が卓越した。また、深さとともに濃度変動の位相遅れが確認された。 樹木に近い地点でのCO_2濃度は、他の地点よりも高くなる傾向が見られた。樹木から1m離れた地点におけるCO_2濃度は、全ての深さにおいて、樹木から3m離れた地点の濃度よりも高かった。その差は、表層において約3000ppm、5〜10cmの層では約4000ppmに達することもあった。また、濃度変動パターンの地点間差異は浅層(0〜5cm)で大きく、樹木から離れる程、変動の形が異なっていく傾向が見られた。 本年度の試験結果より、森林土壌中におけるCO_2濃度の鉛直分布と空間分布が確認された。CO_2濃度の水平濃度勾配は鉛直濃度勾配よりも一桁以上小さく、土壌中におけるCO_2輸送では鉛直方向の輸送が重要であることがわかった。また濃度変動パターンに地点間での差異が見られることから、CO_2濃度場を形成する過程が地点により異なることが考えられた。
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