2007 Fiscal Year Annual Research Report
超臨界二酸化炭素を用いた木材の新規アセチル化処理法の開発
Project/Area Number |
18780137
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
松永 正弘 Forestry and Forest Products Research Institute, 木材改質研究領域, 主任研究員 (70353860)
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Keywords | 超臨界二酸化炭素 / 木材 / アセチル化 / 寸法安定性 / 抗膨潤能 / 質量増加率 / 曲げヤング率 / 曲げ強さ |
Research Abstract |
スギ心材試片を超臨界二酸化炭素雰囲気中でアセチル化処理し、従来法でアセチル化した試片との性能比較を行った。試片1本当たりの薬剤使用量は従来法より少ないにもかかわらず、質量増加率は1時間の短時間処理で16〜20%の高い値を示した。15%以上の質量増加率を得るために必要な処理時間が液相法で4時間、気相法で8時間であることと比較すると、アセチル化反応が速やかに進行していることがわかる。また処理時間を延ばすことで質量増加率はさらに増加し、24時間処理で24〜28%にまで達した。処理試片を水中に沈め、減圧しながら1週間浸漬させたのち、試片寸法を測定して膨潤率を求め、抗膨潤能(ASE)を算出した結果、超臨界二酸化炭素中での処理では1時間でASEは約60〜76%に達した。液相法では1時間の処理でASEが52〜56%、気相法で6〜13%であったのと比較すると、短時間で高い寸法安定性が得られていることがわかる。さらに15時間以上の処理ではASEは80%を超え、無触媒反応としては非常に高い値が得られた。 強度測定の結果、超臨界二酸化炭素雰囲気中でのアセチル化処理試片は曲げヤング率(MOE)、曲げ強さ(MOR)ともに未処理試片と同程度の値を示した。また、従来法と比較しても試片強度はほぼ同じで、高圧下の超臨界二酸化炭素沖でアセチル化処理を行っても、強度には大きな影響を及ぼさないことが示された。軟X線による木口面の密度測定において、液相法では試片中央部より周辺部の方が密度増加が大きかったのに対し、超臨界二酸化炭素を用いたアセチル化処理では試片の中央部も周辺部もほぼ同程度に増加していたことから、アセチル化反応が試片全体で均一に進行しているものと推測された。
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Research Products
(6 results)