2006 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子組み換えウナギ生殖腺刺激ホルモンの産生とその卵成長における機能解析
Project/Area Number |
18780139
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
風藤 行紀 北海道大学, 大学院水産科学研究院, 博士研究員 (60399996)
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Keywords | 生殖腺刺故ホルモン / 遺伝子組換え体 / 卵形成 / 生殖腺刺激ホルモン受容体 / ニホンウナギ |
Research Abstract |
脳下垂体で産生、分泌される生殖腺刺激ホルモン(GTH)は、脊椎動物を通して卵形成の制御に中心的な役割を果たす重要な因子である。他の脊椎動物同様、魚類では2種のGTH(FSHおよびLH)の存在が明らかになっている。しかし、多くの魚種ではGTHの精製を行なうに十分畳の生物試料を得ることが困難なため、両GTHの異なる特異的役割に関しては殆ど不明である。そこで先ず、ショウジョウバエS2細胞による組み換えタンパク合成系を用いてニホンウナギ組み換えFSHおよびLHの大量合成を行なった。 ウナギGTHのヘテロ2量体を構成するサブユニット、すなわち共通のαサブユニットおよびホルモンに特異的なβサブユニット(FSHβあるいはLHβ)を高レベルで同時に発現する恒常発現株を作製し、大量培養を行なった。得られた組み換えFSHおよびLHはimmobilized metal affinity chromatographyおよびゲル濾過により精製した後、SDS-PAGEおよびウェスタンブロットにより解析した。その結果、FSHおよびLHは、ともに95%以上の純度を示し、それぞれに対応するサブユニットに対する特異抗体を用いたウェスタンブロットで陽性反応を示した。また、その産生量は、培養液1リットルあたりFSHで5-6mg、LHで2-3mgであった。更に、それぞれのGTHに対する受容体(FSH受容体およびLH受容体)をコードするcDNAを単離、レポーターアッセイ系を構築し、組み換えGTHがそれぞれの受容体を介して細胞内のシグナル伝達を惹き起こすか否かを検討した。その結果、FSH受容体はFSHおよび高濃度のLHにより、LH受容体はLHによってのみ活性化され細胞内シグナル伝達が誘導された。このことから、得られた組み換えGTHが生物活性を有すことが明らかとなった。また、そのホルモン活性をサケ脳下垂体抽出物と比較したところ50-100倍の高い比活性を示した。
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