2006 Fiscal Year Annual Research Report
琵琶湖産野生型コイの遺伝的簡易識別法の開発と交雑状況の把握
Project/Area Number |
18780142
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
馬渕 浩司 東京大学, 海洋研究所, 助手 (50401295)
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Keywords | コイ / 野生型 / 飼育型 / 交雑 / 判別 / PCR / 電気泳動 / ITS |
Research Abstract |
初年度である昨年度の研究では、目標としていた2種類の簡易識別法の開発のうちの一つを完了することができた。すなわち、rDNA ITS領域における一塩基変異(SNP)識別プライマーを用いる方法と、マイクロサテライトマーカーに基づく方法のうち、前者を完成させることができた。 完成した簡易識別法では、SNP識別プライマーを用いたPCRにより、ITS1領域における野生型と飼育型の塩基配列の違いを増幅断片の大きさの違いで判別できるようにした。すなわち、野生型と飼育型を区別するITS1領域の2ヶ所の塩基置換座位をターゲットにして、片方の座位には野生型の配列のみに、もう片方の座位には飼育型の配列のみにマッチするような下流プライマーを作成し(これがSNP識別プライマー)、野生型・飼育型どちらにもマッチするよう設計した単一の上流プライマーと合せてPCRを行なうという方法で、増幅断片の大きさは、簡単なアガロース電気泳動で区別できるように野生型は170bp、飼育型は360bpであるように設計した。 この方法を用いると、野生型と飼育型の交雑に由来する個体では大小2つの増幅断片が得られる。さらに、2つの増幅断片間の濃度の違いは、サンプル中の両型の配列数の違いにおよそ対応することが確認できたので(人工的に両型のDNAを混合したサンプルを用いて検証)、交雑個体における両型の交雑の程度も、この方法によって大雑把に知ることができると考えられる(なお、ITSを含むrDNA遺伝子領域は多重遺伝子族であり、ゲノム中に複数のコピーが存在することが知られている)。
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