2007 Fiscal Year Annual Research Report
海産魚における代理親魚養殖の確立に向けた生殖細胞の異種間移植技術の開発
Project/Area Number |
18780144
|
Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
竹内 裕 Tokyo University of Marine Science and Technology, 先端科学技術研究センター, 助教 (70418680)
|
Keywords | クロマグロ / 生殖細胞 / 精原幹細胞 / 異種間移植 / vasa遺伝子 / 絶滅危惧種 / 種苗生産 / 養殖 |
Research Abstract |
申請者は、近年、魚類における異種間での生殖細胞移植技術(代理親魚養殖)を開発し、"ニジマスの卵や精子を生産するヤマメ"を作出した。この結果は、大型魚種の卵や精子を小型魚種に作らせることで、短期間かつ省スペースで、大型魚種の種苗生産が可能であることを示している。本研究では、小規模かつ周年での種苗生産が可能なニベを用いて、海産魚における生殖細胞移植技術を確立した。ニベは、マグロ類を含む多くの海産魚と類似した分離浮遊卵を産するため、本研究のマグロ類への応用を考えたうえで優れたモデル魚である。今年度は、ニベ同種間での精原細胞移植を行い、宿主仔魚サイズの最適化と移植後のドナー生殖細胞の挙動を追跡した。ドナー精原細胞は、2ヵ月齢ニベの未成熟精巣を分散後、蛍光試薬PKH26により標識することで調整した。生殖腺の組織学的な観察より、未熟な生殖腺原基を持つ全長3、4、5、6mmの個体を宿主に用いて移植を行い、移植3週間後において、各宿主魚の生残率、宿主生殖腺内へのドナー細胞の生着率を調べた。移植3週間後での宿主仔魚生残率は、移植時の全長が3,4,5,6mmのとき、それぞれ3,21,39,63%であった。また、生殖腺内にドナー細胞の生着が確認できた宿主個体の割合は、移植時の全長が3,4,5,6mmのとき、それぞれ50,52,10,0%であった。続いて、PKH26陽性細胞を有する宿主生殖腺より細胞塗抹標本を作成し、生殖細胞マーカーであるvasaを用いたin situ hybridization(ISH)を行ったところ、PKH26陽性細胞がvasa陽性であったことから、宿主生殖腺内に生着していたドナー由来細胞が生殖細胞であることが判明した。以上の結果から、全長4mmのニベ宿主を用いることで、高生残率かつ高効率で宿主生殖腺にドナー生殖細胞を生着させることが可能であり、精原細胞移埴が海産魚へ応用可能であることが明らかとなった。
|
Research Products
(7 results)