2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18780145
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
坂本 崇 東京海洋大学, 海洋科学部, 助教授 (40313390)
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Keywords | マイクロサテライト / 遺伝子地図 / 連鎖解析 / 耐病性 / アユ / 冷水病 / ゲノム / 育種 |
Research Abstract |
1.アユ冷水病耐病形質解析家系の作出 広島県水産海洋技術センターにおいて、冷水病に耐病性を示すアユ(海産交配系統)が見出された(Nagai et al,2004,Fish Path.).広島県水産海洋技術センターおよび広島県栽培漁業センターとの共同研究により、アユ冷水病耐性系統と感受性系統を交配したF_1(雑種第一代)家系を平成17年度に作出した。このF_1家系に感受性系統を戻し交配し、アユ冷水病耐病形質解析家系を作出した。作出した家系は安定的に維持され、翌年度の実験に用いる準備が整った。 2.アユ冷水病耐病形質と関連性のある候補遺伝子の単離 人為感染実験後の、冷水病菌の魚体内動態を解析した研究結果により、感染後3時間目にはアユ冷水病耐性系統と感受性系統との差異が生じていることが明らかとなった。 アユ冷水病耐性系統と感受性系統において人為感染実験を行ない、系統ごとに感染後の経時的に(0時間、1時間、3時間、6時間)実験魚をサンプリングした。実験に用いることが出来たアユの魚体サイズの関係で、血液からの白血球分離、RNA抽出は出来なかった。そこで、頭腎および脾臓からRNAを抽出し、実験に用いた。系統間の遺伝子発現の差異を比較する前に、各系統内の遺伝子発現の同調性を確認するために、免疫関連遺伝子であるTNF(腫瘍壊死因子)遺伝子の発現を定量PCR法において解析した。その結果、TNF遺伝子発現に系統差は見られず、各系統内の発現の個体差が大きく見られた。これは、冷水病耐性系統内でも約30%の個体が死亡し、感受性系統内でも約30%の個体が生存するなど、系統内に個体差が存在するためと考えられた。本年度の昨年度の先端技術を活用した農林水産研究高度化事業において、アユ冷水病耐性形質を識別可能なDNAマーカーの開発することに成功した。来年度は、1で作出した冷水病耐病形質解析家系において、このDNAマーカーを用いて耐病性魚と感受性魚を識別し、2の解析に用いることが有効であると考えられた。
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Research Products
(9 results)