2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18780158
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Research Institution | National Fisheries University |
Principal Investigator |
杢 雅利 National Fisheries University, 海洋生産管理学科, 助教 (30416466)
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Keywords | 海洋資源 / 海洋生態系 / 水産学 / 魚類マイクロネクトン / 仔稚魚 / 東シナ海 / 個体数変動 |
Research Abstract |
2001-2007年2-3月に東シナ海を中心に採集した仔魚標本について全仔魚数を計数し,個体数密度と表面水温の関係を解析した。採集にはボンゴネット(ロ径60および70cm,目合い0.33mm)を用い,水深100-150mまでを傾斜曳きした。 この期間に採集を行った測点数は,のべ1,320測点,採集された仔魚の総個体数は,計188,029個体であった。仔魚の個体数密度は表面水温と正の相関があり,水温が高いほど仔魚密度が高い傾向にあった。表面水温が20℃未満と20℃以上の測点に分け,各海域の仔魚個体数密度を比較すると,どの年も20℃以上(黒潮系水)の海域で平均個体数密度が高かった。20℃未満の海域の平均個体数密度は13.3-53.4inds m^<-2>,20℃以上の海域では57.1-15.2inds m^<-2>であり,年ごとの変動幅はそれぞれの海域で4.0,2.0倍と表面水温が低い海域で変動幅が大きいことが分かった。このことから,表面水温が低い海域においては,水温や餌生物などの環境変動が大きく,それらが仔魚の分布や個体数密度の変動に影響を与えていることが推測される。マアジ仔魚やスルメイカ仔稚は黒潮域に分布していることから,黒潮域の水温や流量が仔魚の分布量,つまり生残や成長に影響を与えることが推測され,黒潮域の物理的要因の変動が仔魚の個体数変動を解明する上で重要である。前年度の結果でマァジやカタクチイワシなど水産重要種は全仔魚数の10%未満であることが分かっており,水産重要種以外の多くの種(主に中深層性魚類など魚類マイクロネクトン)の黒潮域での分布や個体数密度の変動が餌を巡る競合関係などを通じて水産重要種仔魚の生残や成長に強く影響を与える可能性がある。
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