2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18780159
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渡邊 龍一 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 助教 (70400306)
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Keywords | サキシトキシン結合タンパク質 / 麻痺製貝毒 / 毒結合アフィニティーゲル / 二枚貝における毒の動態 / 毒の組織分布 |
Research Abstract |
2006年7月に採取した、岩手県大船渡湾産の毒化ホタテガイ(Patinopecten yessoensis)3個体を使って、麻痒性貝毒の組織分布(中腸腺、外套膜、エラ、閉殻筋、生殖巣、その他(水管、腎含む))を、蛍光化HPLCで調べた。各組織は、AOAC法に準じて、抽出液を調製し、分析用試料とした。その結果、毒量は中腸腺が最も多く(98nmol/g,58%)、主要毒は11位に硫酸エステル基をもつゴニオトキシン1/4(GTX1/4)とGTX2/3であった。サキシトキシン群(STX, neoSTX)も少量含んでいた。以下、外套膜(22%)、その他(15%)、生殖巣とエラ(3%)、閉殻筋(<1%)の順さあった。各組織の毒組成を比較したところ、中腸腺以外は、GTX2/3を主要毒としていた。なお、毒力も同じ比率であった。 上記結果を踏まえて、麻痺性貝毒結合タンパク質の探索には、11位に硫酸エステル基をもつ毒誘導体を結合させたアフィニティーゲルが有効であると判断した。そこで、dcGTX2/3を出発原料とし、室温、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液中で反応させ、dcGTX2/3のコハク酸誘導体を調製した。現在は、精製中である。 次に、ホタテガイ体内における麻痺性貝毒結合タンパク質の探索を行なった。無毒ホタテガイと有毒ホタテガイを使い、実験対象組織には、毒を比較的高濃度に蓄積する外套膜を選んだ。dcSTX-アフィニティーゲルを使い、対照としてアセチル化ゲルを用いた。組織抽出液をゲルに供し、溶出タンパク質を比較した。SDS-PAGEによる比較の結果、無毒試料において、選択的に濃縮された数本のバンドを認めそのうちの一つが、筋収縮に関わる調節タンパク質であるトロポミオシンと同定した。現在、ホタテガイからトロポミオシンを精製し、真にSTX結合能を持っかどうか調べている。なお、有毒試料は元来、毒を含んでいるため、前処理法を検討する必要があると考えられる。 最後に、実験に必要な出発原料であるdcSTXやGTX2/3を精製・単離した。その後、二種類Q毒誘導体(CET-STXとHS-dcSTX)を調製し、H19年度、結合タンパク質の探索実験を行うのに充分な基質量を確保した。
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