2006 Fiscal Year Annual Research Report
非農家の協力による農村環境保全活動を促す制度条件に関する研究
Project/Area Number |
18780166
|
Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
加藤 弘二 宇都宮大学, 助教授 (40261820)
|
Keywords | 地域共有資源 / 制度 / コモンズ / ボランティア |
Research Abstract |
非農家の協力による農村環境保全活動として,今年度はいわゆる「棚田オーナー制度」を研究の主要対象とし,栃木県茂木町において同制度についての実態調査を行った。調査の結果,棚田オーナー制度では,年を経るごとに実作業における非農家の貢献度が増大してきており,特に継続的に参加している会員の貢献が大きいことが明らかとなった。一方,開始当初は地元の負担が大きく,そのなかで参加者に作業め手順を教えていくこと,継続した会員を確保すること,運営面でも非農家会員の貢献を高めていくことが,制度を継続していく上で必要である。 さらに,海外の資源管理制度についての研究の一環として,ニュージーランドにおける漁業資源管理制度QMSに関する調査を行った。ニュージーランドの漁業では,取引可能な個別漁獲割当(ITQ)を導入することにより,先進的な漁業資源の管理を行っている。研究機関および関連団体における聞取り調査から,資源の効率的な管理という部分では,ITQ制度は概ね有効に機能していることが明らかとなった。一方,ITQの取引きデータを分析した結果,漁獲割当(クオータ)保有者が一部の大規模企業に集中しており,実際の漁獲者とクオータ保有者が乖離していることが明らかとなった。また,原住民(マオリ)の伝統的漁業者に聞取り調査を行った結果,マオリの伝統的漁業者は,漁業資源を自分達の判断で管理する権利を重視しており,現在のQMS下で政府が一元的に資源管理についての決定を行っている点に対して不満を持っていることが明らかとなった。
|