2006 Fiscal Year Annual Research Report
持続的な農業生産システム構築に向けたシミュレーションモデルの構築
Project/Area Number |
18780168
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
駄田井 久 岡山大学, 大学院環境学研究科, 講師 (60346450)
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Keywords | 中山間地域 / 耕作放棄 / シミュレーションモデル / 農業集落 / 食料安全保障 / 数理計画法 |
Research Abstract |
平成18年度は,(1)数理計画法を適用した食料供給に必要となる農地面積の計測,(2)中山間地域の農業集落を対象としたシミュレーションモデルの構築を行った。 (1)数理計画法を適用した食料供給に必要となる農地面積の計測 食料・飼料の輸入が停止した時に,必要となる食料を国内の農業生産のみでまかなう場合に必要となる農地面積を計測した。具体的には,必要栄養素量制約,農業労働資源制約,利用可能農地資源制約を前提とし,必要となる農地面積を最小化する線形計画モデルを構築した。その結果,現在の農地面積を維持することが可能であれば,必要となる食料の供給は可能であることが明らかとなった。また,他産業から農業生産への労働量および化石燃料の投入を行うことにより,必要となる農地面積を減少させる事が可能であることが明らかとなった。 (2)中山間地域の農業集落を対象としたシミュレーションモデルの構築 岡山県高梁市有漢町S集落を対象として,将来的な耕作放棄発生面積の予測を行うためのシミュレーションモデルの構築を行った。集落内の28戸の農家ごとに個別の線形計画モデルを設計した。その結果,耕作放棄面積は10年後には1.9ha.(集落内農地面積の約10%)になると推測された。更に,モデルの改良を行い,「農家問の協力」・「集落内の非農家の労働力活用」のケースでの計測も行った。その結果,農家間の協力により耕作放棄抑制かつ農業所得の増加が可能となることが明らかとなった。また,年数がたつにつれて,「耕作放棄の抑制」と「農業所得の増加」のトレードオフの関係が強くなるが,非農家の労働資源を農業に利用することでトレードオフの関係を弱めることが可能であることも明らかとなった。 いずれの結果に関しても,平成18年10月に開催された地域農林経済学会大会で報告を行った(関連報告4本)。
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