2007 Fiscal Year Annual Research Report
メキシコ・ハリスコ州における輸出志向型農業の存立形態に関する研究
Project/Area Number |
18780170
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山口 和宏 Kyushu University, 大学院・農学研究院, 研究員 (50423588)
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Keywords | メキシコ / 農産物貿易 |
Research Abstract |
ハリスコ州のAGROSUR社に代表されるトマト生産企業は、メキシコ国内向けよりも北米向けのトマト生産が中心であった。そして、その生産は、欧州で開発された最先端の施設とエヒードの女性を中心とする安価で勤勉な労働者によって支えられていた。また、従前は穀物(特にトウモロコシ)を生産の中心としているエヒード(一定の範囲の土地の利用権を国から与えられた農家の地域集団の呼称)においても、先進的なものは多国籍アグリビジネス企業と結びつき、大型機械の導入や、ハイブリッド種子を利用した生産を行っている。これらの技術力の導入とともに、余剰化した労働力を利用して、野菜の生産や家畜生産・加工分野への進出を模索している。 このように、メキシコの輸出志向型農業生産は、欧州からの技術に立脚した施設野菜企業と米国からの技術を導入した穀物とそれを利用した畜産とに分けられると考える。そして、これらの生産者は、北米輸出が主流であるが、機会があれば対日輸出を行うことも視野に入れられている。その際には、昨年明らかにした、言葉の問題と日本の複雑すぎる市場構造が問題となってくるが、その点に関しては、日本の企業と提携を結ぶことで、障壁が低くなると考えられており、それらに加えて、特にエヒード農家側では、対日輸出向けの農産物・畜産物生産のための、日本企業からの積極的な資本投下が期待されている。
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