2008 Fiscal Year Annual Research Report
播種前契約の最適設計に関する計量分析-情報の不確実生と非対称性の視点から-
Project/Area Number |
18780171
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
森高 正博 Kyushu Sangyo University, 商学部, 講師 (20423585)
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Keywords | 農業経済学 / 農林水産物 / 契約取引 / ゲーム理論 / 意思決定論 |
Research Abstract |
本研究は、青果物・米における播種前契約取引について、取引に内在するコンフリクト、リスクの大きさ、契約内容の適切な妥協点などを分析するため、取引モデルの構築とその定量分析法の開発を目的とする。初年度は、広範な事例に対するヒアリングを行い、契約に対する考え方、評価基準を抽出した。2年度は、播種前契約取引の継続性について、取引相手がもつ契約履行能力、態度について情報が不完備な場合、契約取引による利潤の増加を期待できない取引相手との継続的な契約が成立することを明らかにした。 2年度は、播種前契約を行うことを与件として、その後の展開を扱ったが、本年度は、そもそも播種前契約を行うか否かについての意思決定を明示的に考察できるようモデル化を試みた。その際、代替的な選択肢となる卸売市場取引等について、我が国では、純粋競争を仮定しにくいため、売り手(産地)や買い手(小売等)が、卸売市場等において影響力をもったモデルとした。これは、(代替的取引先を選んだ場合に得られる利得である)留保利得が通常、固定値として分析されていた従来の契約理論では十分に考慮されてこなかった要素である。 理論分析の結果、卸売市場等での影響力を明示的に考慮したモデルは、卸売市場等の経由率にかかわらず、より簡易なモデルに帰着できることを明らかにした。これは、卸売市場と市場外取引が併存するわが国農産物流通のモデル化を容易にするだけでなく、定量的分析のためのモデルや調査票を簡易化する上でも重要な知見となる。 なお、2年度および本年度のモデルを統合することで、契約に対する売り手、買い手の取引先・取引方法の評価式を導き、定量的な計測を試みる予定であるが、これは今後の研究課題とする。
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