2006 Fiscal Year Annual Research Report
食育がわが国農業・食料問題に及ぼす効果と可能性に関する計量経済学的研究
Project/Area Number |
18780176
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
上岡 美保 東京農業大学, 国際食料情報学部, 講師 (90339094)
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Keywords | 食育 / 地域内連携 / 食料問題 / 農業問題 / 効果 |
Research Abstract |
本研究では、特に将来の食生活を形成する団塊二世世代の子どもにあたる学童期の子どもに焦点を当て、食育の推進と食育が効果的に行われる為の具体的施策について多変量解析等の計量的な分析を行うとともに、適切な食育が行われることによって、現在わが国が抱える農業及び食料の諸問題解決の糸口を見い出し、そのための政策的提言を行うことが目的である。 一年目の18年度は、本助成研究以前のテーマでの研究を継続させるとともに、新たな視点での研究についての準備を進めた。 まず、本研究以前の助成研究「学童期における食育の普及・定着に関する定量分析」の研究成果の一部として、18年12月に上岡美保「わが国の食生活の現状と食育の意義に関する研究-福島県河沼郡会津坂下町を事例として-」『農林業問題研究』第42巻・第3号を発表、掲載された。本研究では、学童期の食育の推進において、地域内連携が重要であるという点について、多変量解析を用いて明らかにしてきた。 また、本年度以降はその研究結果を踏まえ、より詳細な主体間での分析に取り組んでいくこととする。18年度は香川県仲多度郡まんのう町を対象にヒアリング調査等を行った。まんのう町は、学校給食の原材料として、積極的に地産地消を進める地域である。 まんのう町では、学童期の子ども達が、日常に自分たちの食事の作り手、すなわち、母親や祖母給食センターの調理員等に宛てた手紙作文作りを小学校において実施しているとともに、食事の作り手がその手紙に対して子ども達に応えた手紙を寄せている。18年度は、本資料を入手し、データ入力を行うとともに、分析手法の検討を行った。 今後は、この手紙のやりとりという取り組みを対象とし、子どもと食事の作り手つまり、子どもと家庭あるいは子どもと給食施設という主体間の心理的関わりに注目して、テキストマイニングの手法を用いて、分析していく。 テキストマイニングとは、作文などの文章や言語をテキストデータとして入力し、コンピュータを利用して、言語処理を行う分析手法である。テキストマイニングの利用により、子どもと関わる主体間での食事における全体的傾向やニーズについて明らかにすることができる。 19年度は、具体的にデータ分析を行い、食事に関わる主体間(作り手と食べる側)の心理的関係について明らかにしていくこととなる。
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